先週の対ドル通貨騰落率

※世界の通貨強弱を可視化し、現在の「相場のテーマ」の推測に役立てています

先週は通貨によって区々の動き。ロシアは米露関係の悪化が意識される中で売られる一方、ブラジル・トルコは中銀が政策金利の利上げを行ったことで買われた。また欧州では新型コロナウイルスの再拡大が懸念されており、リスク要因としてくすぶる。

 

先週の主な出来事

16日:米国家情報長官室は「2020年の米連邦選挙に対する外国勢力の脅威」と題する報告書を公表し、ロシアとイランが11月の大統領選に影響を及ぼす活動をしたと結論づけた。報告書はロシアのプーチン大統領が大統領選で勝利したバイデン氏を中傷する工作活動を承認していたと指摘。

17日:菅義偉首相は、緊急事態宣言を21日の期限をもって全面解除する方針を表明した。

ブラジル中央銀行は、政策金利を0.75%引き上げ、年2.75%にすると発表した。利上げは2015年7月以来、約5年半ぶり。

18日:FOMC要旨(FRBは必要な経済支援を続ける。ゼロ金利と資産購入の維持を決定。2020年3-4月の物価上昇率が低かったため、今後1年間は物価上昇率が高まる。経済再開で消費が急回復するとさらにインフレ圧力が強まる可能性がある。経済情勢の大きな進展があるまで資産購入は継続。)

米債券市場で新発10年物国債の利回りが急上昇。一時は1.75%と前日より0.11%上昇し、約1年2カ月ぶりの高水準を付けた。

トルコ中銀は主要政策金利の1週間物レポ金利を2%引き上げ、年19%にすると決めた。足元の消費者物価指数(CPI)が15%超に達するなどインフレが加速するなか、インフレ沈静化を政策目標に掲げ、市場予想を上回るペースで利上げを実施している。

19日:米中外交トップ会談要旨(米国:台湾への軍事・外交の圧力停止を呼びかけ。ウイグル・民族大量虐殺を批判、チベット人権や新疆の自由を擁護、香港の「一国二制度」の復活求める。気候変動について4月に首脳会合主催)(中国:台湾問題で妥協・譲歩の余地なし。ウイグル・民族大量虐殺は今世紀最大のウソ。チベットおよび香港への内政干渉を批判。気候変動は米中で作業部会を設置要求)

日銀金融政策決定会合要旨(「貸出促進付利制度」を創設。YCCで長期金利の変動幅をプラスマイナス0.25%程度と明確化。連続指し値オペ(公開市場操作)を導入。新型コロナウイルスの影響が続くもとでは、イールドカーブ(利回り曲線)全体の低位安定を優先して運営。上場投資信託(ETF)は年約12兆円、不動産投資信託(REIT)は年約1800億円の購入上限をコロナ収束後も継続し、必要に応じて買い入れを行う。ETFは個別銘柄に偏った影響ができるだけ生じないよう、指数の構成銘柄が最も多い東証株価指数(TOPIX)に連動するもののみを買い入れる。短期金利は政策金利残高にマイナス0.1%を適用する。長期金利は10年物国債金利が0%程度で推移するよう上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。コマーシャルペーパー(CP)と社債は2021年9月末まで合計で約20兆円の残高を上限に買い入れ、感染症対応を終了した後も一定の買い入れを継続する。)

QUICKが実施した3月の外国為替市場に関する月次調査によると、市場参加者がみるオーストラリア(豪)ドルの先高観が主要13通貨でもっとも高かった。首位は3カ月連続。

防衛省統合幕僚監部は、中国海軍のレンハイ級ミサイル駆逐艦など艦艇計3隻が対馬海峡から日本海へ航行するのを確認したと発表。レンハイ級は中国海軍最大規模の駆逐艦で、日本近海で活動するのを海上自衛隊が初めて確認した。

イタリア政府は、新型コロナウイルスで痛んだ経済回復を目指し、総額320億ユーロ(約4兆2000億円)の追加支援策を閣議決定した。企業や自営業者への助成やワクチン接種の拡大が柱となる。現在、同国は感染の「第3波」に見舞われ、主要地域で再びロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている。

中国の人民解放軍が、軍人に米テスラの利用を事実上禁止したことが明らかになった。車両に搭載したカメラなどから軍事機密が漏れるのを防ぐためとしている。

ロシア中央銀行は、政策決定会合を開き、主要政策金利を0.25%引き上げ、年4.50%にすると決定した。利上げは2018年12月以来、2年3カ月ぶり。

中国の1~2月のワクチン輸出額が9億1700万ドル(約1000億円)と、前年同期の76倍に増加したことが分かった。大半を新型コロナウイルス用が占める。輸出先は累計43カ国に及ぶ。発展途上国への影響力拡大を狙うワクチン外交を示す輸出額が明らかになるのは初めて。

20日:インドを訪問したオースティン米国防長官は、ニューデリーでシン国防相と会談し、両国の軍事協力を拡大することで一致した。「自由で開かれたインド太平洋」構想や日米豪印4カ国が連携する「Quad(クアッド)」で協力を進めることも確認した。

トルコのエルドアン大統領は、中央銀行のアーバル総裁を解任したと発表した。2020年11月に就任したアーバル氏はインフレ対策として金融引き締めを推進してきたが、金融緩和を求めるエルドアン氏の不興を買ったとみられる。

 

先週の為替相場レンジ(変動範囲)

始値 安値 高値 終値 終値▲始値
USD/JPY 108.94 108.63 109.36 108.88 -0.06
EUR/USD 1.1952 1.1881 1.1989 1.1904 -0.0048
EUR/JPY 130.35 129.49 130.68 129.61 -0.74
USD/CNH 6.4959 6.4850 6.5221 6.5087 0.0128
CNH/JPY 16.77 16.69 16.81 16.73 -0.04

 

先週の為替相場サマリー

先週のドル円相場は、108円94銭からスタート。週初は上値を試す展開となり、15日に109円36銭の高値をつける。しかしその後はFOMCや日銀金融政策決定会合を控え小動きの展開に。しかし、FOMCから一夜明けた18日には、米10年債利回りが1.75%に到達、ドル円も再び上値を試すが、上値重く、高値更新に失敗。週末にかけては日銀金融政策決定会合にて、長期金利の変動幅を±0.25%まで許容したことから、円金利の上昇が意識され、円高(ドル安)に戻すかたちとなり、108円88銭にてクローズ。

ユーロ相場は、1ユーロ=1.1952ドルからスタート。週初はじり安の展開となり16日には1.19台を下回る展開となるも、東京18日早朝のFOMCで米国の緩和維持方針が伝わると、ドル売りユーロ買いが進み、1.1989まで上昇。しかし1.20には届かず、その後は欧州の新型コロナウイルスの再拡大が意識される中、ユーロはじり安の展開となり、1.1904でクローズ。

人民元相場は1ドル6.4959元からスタート。週初にドル高に振れた後で、FOMCまでは6.50-6.51での推移が、継続。FOMCでドル安が進むと、一時6.4850まで下落し今週の安値をつける。しかしその後は、米10年債利回りが1.75%まで上昇する中で、ドル高が進み、6.5221まで反発。週末は6.5087でクローズ。

 

今後の主な経済指標と政治イベントの予定

今週

22日:欧州連合(EU)外相理事会(ブリュッセル)
23日:NATO外相理事会
24日:日銀金融政策決定会合の議事要旨
25日―26日:EU首脳会議

 

来週以降

4月22日:ECB
4月26日―27日:日銀金融政策決定会合
4月27日―28日:FOMC
5月25-28日:特別年次総会 シンガポール開催
6月1日:ECB
6月11-13日:主要7カ国首脳会議(G7サミット) 英南西部コーンウォール開催
6月15日―16日:FOMC
6月17日―18日:日銀金融政策決定会合
7月15日―16日:日銀金融政策決定会合
7月22日:ECB
7月27日―28日:FOMC
8月:ジャクソンホール会議
9月9日:ECB
9月21日―22日:日銀金融政策決定会合
9月21日―22日:FOMC
10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
10月28日:ECB
11月2日―3日:FOMC
12月14日―15日:FOMC
12月16日:ECB
12月16日―17日:日銀金融政策決定会合

 

テクニカル分析指標

13週平均 26週平均 52週平均 RSI
USD/JPY 105.50 105.00 105.98 69.23
EUR/USD 1.2088 1.1982 1.1653 48.17
EUR/JPY 127.44 125.77 123.43 64.54
USD/CNH 6.4794 6.5549 6.7885 39.66
CNH/JPY 16.27 16.02 15.62 75.30

※Relative Strength Indexは50が基準、70より上は買われすぎ、30より下は売られすぎ

USD/JPY

EUR/USD

USD/CNH

 

 

今週の注目材料と戸田の取引戦略

相場の全体感

国際政治環境においては、米中対立が激化する中で、人権をテーマにファイブアイズ+日欧印が纏まって中国を牽制しています。これは素直に人民元安の材料になると考えています。一方、金融政策に目を移せば、米国の利上げや金融緩和縮小が意識される中、米10年債利回りが上昇、ブラジルやトルコなどの中銀も為替レート維持のために利上げを迫られています。米国のように利上げの判断をおおむね市場に委ねる国もあれば、ブラジルやトルコのように半強制的に利上げを迫られる国もあります。また日本のように10年債利回りに上限幅を設定する国もあり、中銀の金利の適用方法に注目が集まる局面と言えます。

USD/JPY

2017年から続く長期トレンドの上限を109.50前後と仮定すると、この上限をまだ突き破ることが出来ていません。従ってここからドル円を買っていくと下に突き落とされる可能性がある局面です。一方で、米10年債利回りが1.75%を突破し、日本10年債利回りが金融政策決定会合を通じて+0.25%が上限と指定されたことから、さらなる日米金利差の拡大が意識されます。ファンダメンタルズで見ればドル円を買っていくのが素直なストラテジーです。無理する必要はないですが、私は107円台後半は買って行こうと考えています。これは20日の移動平均レベルであり、これをバックにロング回転売買がシンプルで、ワークすると思います。

EUR/USD

現在はポジションを保有していませんが、今週は機をみてユーロ売り、ドル買いから入ろうと考えています。欧州各国で新型コロナウイルスが拡大している状況且つ、米金利が上昇していますので、ユーロドルの売りは素直なストラテジーと言えるでしょう。先週末のクローズが1.1904ですので、1.2000台では積極的に売っていきたいと考えています。

CNH/JPY

人民元については、対日本円で、現在纏まったポジションを買い持ちしていますが、少しポジションを落としていく予定です。持ち値が16円前後とかなり余裕がありますので、特に細かい利食いポイントを定めてはいないのですが、早々に売っていこうと思います。中国が八方ふさがりになりつつある状況で、ドル円のレベルも高い水準であり、買い持ちは居心地が悪いと言うのが本音です。

 

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