目次
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
---|---|---|---|---|---|
USD/JPY | 130.51 | 127.51 | 131.36 | 129.19 | ▲1.42% |
EUR/USD | 1.0552 | 1.0350 | 1.0594 | 1.0411 | ▲1.05% |
EUR/JPY | 137.77 | 132.65 | 138.34 | 134.50 | ▲2.47% |
USD/CNH | 6.7170 | 6.6975 | 6.8386 | 6.7943 | +1.15% |
CNH/JPY | 19.4282 | 18.7029 | 19.5247 | 19.0061 | ▲2.17% |
先週の為替相場サマリー
リスクオフの円買い、ドル買いでクロス円が下落
USD/JPY
- ドル円は10週間ぶりに上昇がストップ。1ドル=130.51円からスタートし、週初こそ上値を試し131.36円まで上昇したが、その後は米株の下落に連れて徐々にリスクオフ相場となり、円の買い戻しが優勢となった。水曜日にはアメリカの4月消費者物価指数が発表され、+8.3%と引き続き根強いインフレ圧力が確認されると、景気後退への懸念からさらに米株が売られ、連れてドル円クロス円は売り込まれ、木曜日には127.51円まで下落した。週末は米株などリスク資産の買戻しが優勢でドル円も129.19円まで値を戻してクローズ。
EUR/USD
- ユーロは年初来安値を更新。1ユーロ=1.0552ドルからスタートし、週初はやや買いが優勢となり1.0594まで上昇する局面も見られたが、落ち着いた値動きが続いた。水曜日にアメリカの強いインフレ圧力が確認されると、ドルが買われユーロは売られた。週末に掛けて、じりじりと下落する展開が続き、1.0350まで下落したのち、1.0411まで戻してクローズ。
USD/CNH
- 人民元は続落。1ドル=6.7170元からスタートし、オープン直後からドルが買われ、人民元売りが加速した。6.74台まで値を切り上げて迎えたアメリカの4月消費者物価で強いインフレ圧力が確認されるとドル買いが一層強まり、人民元は売られ金曜日には一時6.8386の高値をつけた。週末はやや下押しし6.7943でクローズ。
先週のできごと
①グローバルに非常に強いインフレ圧力が確認された、②フィンランドがNATO加盟の意思を表明、③ウクライナ、ハリコフの戦線からロシアが撤退
9日
- 中国4月貿易収支 +511.2億ドル
- 日銀・金融政策決定会合議事要旨
- メキシコ4月消費者物価指数(CPI) +7.7%
- 米欧日など主要7カ国(G7)の首脳はウクライナのゼレンスキー大統領を招き、同国への支援やロシアへの追加経済制裁についてオンラインで協議した。共同声明はG7としてロシア産石油の輸入禁止に取り組むと盛った。岸田文雄首相は「G7の結束が何よりも重要なときだ」と述べ、禁輸措置をとると表明した。
- 世界が注目したロシア対独戦勝記念日。過度な演出はなく、演説したプーチン大統領は感情を抑え気味で、対ウクライナについての内容もそれまでの主張をほぼ踏襲した。
- フランスのマクロン大統領は欧州連合(EU)より簡素な手続きで加盟できる新組織「欧州政治共同体」の設立を提唱した。現状のEU加盟基準が厳しすぎるためだと説明した。拡大が容易な組織を設けてウクライナなどを取り込み、欧州の結束を強める狙いがある。
10日
- ノルウェー4月消費者物価指数 +5.4%
- トルコ3月失業率 11.5%(失業率はさらに悪化)
- ユーロ圏5月ZEW景況感調査 ▲29.5(非常に弱い数値)
- 韓国の保守系政党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は第20代大統領に就任した。同日の演説で北朝鮮に核開発の中断を求めた。
11日
- 中国4月消費者物価指数 +2.1%
- 中国4月生産者物価指数 +8.0%
- ドイツ4月消費者物価指数 +7.4%
- 米国4月消費者物価指数 +8.3%
- ラガルドECB総裁が講演で、新規の資産購入について「7~9月期の早い時期に終了すると見込んでいる」との考えを示した。利上げについては、ECBの声明文で資産購入の終了後「しばらくしてから」実施すると示されているが、ラガルド氏は「『しばらく』とは数週間を意味する可能性があることは明確にしている」と述べ、量的金融緩和の終了後、それほど時間を空けずに利上げする可能性があることを示唆した。
12日
- 日本3月国際収支 +2兆5493億円
- 日本4月景気ウオッチャー調査 現状判断DI50.4 先行き判断DI50.3
- スウェーデン4月消費者物価指数 +6.4%
- 英国1-3月期四半期国内総生産(GDP) +8.7%
- 米国4月卸売物価指数(PPI) +11.0%
- 米国前週分新規失業保険申請件数 20.3万件
- メキシコ中銀は政策金利を0.50%引き上げ +7.0% に設定。
- 南米ペルーの中央銀行は金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き上げて5%にすると発表した。アルゼンチンの中央銀行も同日、政策金利を2%引き上げて49%にすると決めた。ロシアのウクライナ侵攻を背景に進むエネルギーや食料品の価格上昇を抑える狙いがある。
- コスタリカの大統領府は身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」に感染したのを受け、緊急事態宣言を発動した。4月から財務省など複数の政府機関が攻撃を受けたという。
- フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は共同で声明を発表し「フィンランドは速やかに北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請しなければならない」と表明した。ウクライナ侵攻を受けて長年維持してきた軍事的な中立政策を転換する。
- 米国の新型コロナウイルスの死者数が、累計で100万人を超えた。
- 中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露副総裁は記者会見で「市場の貸出金利をさらに引き下げて、企業などの資金調達コストを減らし、資金需要を刺激する」と述べた。
- 欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル大統領は日本経済新聞のインタビューで、EUとして「ロシア産化石燃料への依存を終わらせる」と述べ、ロシアからの輸入停止措置を天然ガスにも拡大すると表明した。ウクライナの復興支援で日本と協力する考えも表明した。
13日
- 日本4月マネーストックM2 +3.6%
- 5月ミシガン大学消費者態度指数 59.1
- ロシア4月消費者物価指数 +17.8%(強いインフレ圧力)
- ウクライナ北東部ハリコフのテレコフ市長はロシア軍が市街地から対ロ国境方面に撤退していると英BBCに語った。
-
バイデン米政権と東南アジア諸国連合(ASEAN)の初の対面首脳会合がワシントンで開かれた。双方の協力関係の「包括的戦略パートナーシップ」への格上げなどを柱とする共同声明をまとめた。「ASEANは政権のインド太平洋戦略の中核だ」。バイデン大統領はインド太平洋地域で覇権を広げようとする中国に対抗する姿勢で、2021年11月に同パートナーシップに引き上げた中国を意識したのは明らかだ。
- 旧ソ連南部ジョージア(グルジア)からの分離・独立を宣言している南オセチア地域は7月17日にロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施すると明らかにした。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Product(国内総生産):高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Index(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値
注目の経済指標と政治イベント
注目は、①各国の消費者物価指数(インフレ圧力の確認)、②日本の第1四半期GDP、③日本の4月貿易収支
16日
- EU外相理事会(ブリュッセル)
- 08:50 日本4月国内企業物価指数
- 11:00 中国4月小売売上高
- 11:00 中国4月鉱工業生産
- 16:00 トルコ3月経常収支
- 18:00 ユーロ圏3月貿易収支
- 21:30 5月ニューヨーク連銀製造業景気指数
17日
- 10:30 豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表
- 15:00 英国4月失業率
- 21:30 米国4月小売売上高
- 26:00 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
- 27:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
18日
- G7財務相・中銀会合(~20日まで)
- 08:50 日本1-3月期四半期実質国内総生産
- 15:00 英国4月消費者物価指数(CPI)
- 17:00 南ア4月消費者物価指数
- 21:30 カナダ4月消費者物価指数
- 21:30 米国4月住宅着工件数
- 21:30 米国4月建設許可件数
- 25:00 ロシア1-3月期実質国内総生産(GDP、速報値)
19日
- 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
- 08:50 日本4月貿易統計
- 08:50 日本3月機械受注
- 10:30 オーストラリア4月雇用統計
- 21:30 5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
- 21:30 米国前週分新規失業保険申請件数
- 23:00 米国4月中古住宅販売件数
20日
- 08:30 日本4月全国消費者物価指数(CPI)
- 15:00 英国4月小売売上高
- 15:00 ドイツ4月生産者物価指数(PPI)
- 米韓首脳会談(~22日まで)
- オーストラリア総選挙(21日)
来週以降
- 5月23日:日米首脳会談
- 5月24日:QUAD首脳会談
- 6月9日:ECB
- 6月15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 6月17日:日銀金融政策決定会合
- 7月21日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 7月21日:ECB
- 7月27日:FOMC
- 9月8日:ECB
- 9月21日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月27日:ECB
- 10月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月2日:FOMC
- 11月8日:米中間選挙の投開票
- 12月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月15日:ECB
- 12月20日:日銀金融政策決定会合
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