目次
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
---|---|---|---|---|---|
USD/JPY | 130.85 | 130.43 | 134.54 | 134.42 | +2.73% |
EUR/USD | 1.0722 | 1.0505 | 1.0774 | 1.0515 | ▲1.94% |
EUR/JPY | 140.28 | 139.85 | 144.24 | 141.34 | +0.76% |
USD/CNH | 6.6484 | 6.6363 | 6.7382 | 6.7308 | +1.24% |
CNH/JPY | 19.6551 | 19.5805 | 20.0879 | 19.9706 | +1.55% |
先週の為替相場サマリー
ドル高、円安
USD/JPY
- ドル円は引き続き大きく上昇。1ドル=130.85円からスタートすると、ほぼ押し目なく週初から上を試し、131.36円の直近高値を超えると勢いよく上昇し132円台へと突入、火曜日には一時133円をつけた。勢いは止まらず水曜日に134円を突破すると木曜日午前中には134.54円の今週高値を記録。その後は財務省、金融庁、日銀による三者会合にて円安けん制などを受けて一時133.20円前後まで戻す局面も見られたが、週末にかけては米5月消費者物価の高止まりを受け、ドル買いが強まると高値圏である134.42円でクローズ。
EUR/USD
- ユーロはECB後に下押し。1ユーロ=1.0722ドルからスタートし、木曜日のECBを控えて小動きが続いた。注目のECBでは7月利上げ開始、9月利上げ幅拡大可能性が示されたが、市場の期待を上回るほど引締め的な内容ではなく、徐々にユーロは売られ、ドルが買われた。金曜日には1.06を下抜けると、1.0505まで下落し、安値圏の1.0515でクローズ。
USD/CNH
- ドル買い、人民元売りが優勢。1ドル=6.6484元からスタートし、週初に発表された弱い5月サービス業PMIなどを受け、じりじりとドルが買われ人民元が売られる展開となった。木曜日には6.70に到達すると、金曜日には米5月消費者物価の高止まりを受け、さらにドル買いが強まり6.7382まで上昇したのち、高値圏の6.7308でクローズ。
先週のできごと
①財務省、金融庁、日銀による三者会合にて円安をけん制、②米国の5月消費者物価は高止まり、③ECBは来月利上げへ
6日
- ドイツ・フランスなど祝日
- 中国5月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI) 41.4(悪い)
- 日銀の黒田東彦総裁は現在の大規模な金融緩和について「引き締めを行う状況には全くない」と強調した。日本経済が新型コロナウイルス禍からの回復途上にあることや資源価格の上昇による所得面への下押し圧力を理由に挙げ、「賃金と物価がともに相乗的に上昇していく好循環をつくり出す必要がある」と述べた。
7日
- 豪準備銀行(中央銀行)は政策金利を0.50%引き上げ0.85%に設定
- 日本4月景気先行指数102.9、景気一致指数96.8
- アメリカ4月貿易収支 ▲871億ドル
- 日米交流団体ジャパン・ソサエティーのジョシュア・W・ウォーカー理事長は日本経済新聞のインタビューで、日本の入国制限のさらなる緩和が必要だとの認識を示した。政府の水際措置が「主要7カ国(G7)で最も閉鎖的だ」と指摘し、規制撤廃を求めた。
- 鈴木俊一財務相は閣議後の記者会見で、外国為替市場で進む円安について「急速な変動は望ましくない」と述べた。「為替市場の動向や日本経済への影響を緊張感を持って注視する」と強調した。
- 南米チリの中央銀行は政策金利を0.75%引き上げて9%にすると発表した。利上げは8会合連続。
- ロシアのショイグ国防相はウクライナ東部ルガンスク州の97%を制圧したと国防省の会議で表明した。同州でウクライナ軍が抵抗する最後の拠点セベロドネツクで市街地の掌握を終え、工場地区に攻勢をかけていると説明した。
8日
- ポーランド中銀は政策金利を0.75%引き上げ6.00%に設定
- 日本4月国際収支 +5,011億円
- ドイツ4月鉱工業生産 ▲0.7%
- ロシア5月消費者物価指数(CPI) +17.1%
- 日銀の黒田東彦総裁は衆院財務金融委員会で「家計の値上げ許容度が高まっている」とした自身の発言について「全く適切ではなかった。撤回する」と述べた。
- 米国の住宅ローン需要が細っている。米抵当銀行協会(MBA)が発表した週次調査によると、3日までの週の申請規模を示す総合指数(季節調整済み)は前の週から6.5%下がり、22年ぶりの低水準になった。米連邦準備理事会(FRB)による急ピッチの利上げ方針を反映して住宅ローン金利も大幅に上がり、借り換えと新規購入の両方で資金需要が落ち込んでいる。
- イエレン米財務長官はバイデン政権がインフレ対策で検討している対中制裁関税の引き下げについて「より戦略的に再構成することを考えている」と述べた。関税の対象を見直し、一部製品への関税を解除する可能性を示唆した。
9日
- 中国5月貿易収支 +787.6億ドル
- 日本5月マネーストック +3.2%
- メキシコ5月消費者物価指数(CPI) +7.65%
- ブラジル5月IBGE消費者物価指数(CPI) +11.73%
- 米国前週分新規失業保険申請件数 22.9万件
- ロシア政府は9日、外貨収入を自国通貨ルーブルに両替することを義務づける輸出企業向けのルールを緩和すると発表した。プーチン大統領が大統領令に署名し、同日から実施した。
- 欧州中央銀行(ECB)は7月に11年ぶりの利上げに踏み切る。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高でインフレが加速しており、景気よりもインフレの抑制を優先する。ラガルド総裁は「もし高インフレが続くなら9月はより大きな増加幅が適切になる」とし、0.5%幅の利上げも排除しなかった。
10日
- 日本5月国内企業物価指数 +9.1%
- 中国5月消費者物価指数(CPI) +2.1%
- 中国5月生産者物価指数(CPI) +6.4%
- ノルウェー5月消費者物価指数(CPI) +5.7%
- ロシア中銀は政策金利を1.50%引下げ9.50%に設定
- カナダ5月雇用統計 新規雇用者数増減+3.98万人 失業率5.1%
- 米国5月消費者物価指数(CPI) +8.6%(強いインフレ圧力)
- 6月ミシガン大学消費者態度指数 50.2
- 岸田文雄首相はシンガポールで開催中のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で講演した。日本の防衛力について「5年以内に抜本的に強化し、裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意だ」と言明した。「自由で開かれたインド太平洋」の行動計画を2023年春までに策定すると表明した。
- 米財務省は公表した半年に一度の「外国為替政策報告書」で、年明けの急速な円安に触れたうえで「為替介入は事前に適切な協議をしたうえで、極めて例外的な状況のみ」で認められるという従来の表現を踏襲した。
- 鈴木俊一財務相は閣議後の記者会見で、外国為替市場で進む円安について「為替の安定が一番重要だ。急速な変動は好ましくない」と述べた。円相場は20年ぶりの円安・ドル高水準となる1ドル=134円台に下落したが「水準についてはコメントしない」と評価を避けた。鈴木氏は「為替市場の動向、日本経済への影響について緊張感を持って注視している」と重ねて強調した。主要7カ国(G7)による合意をふまえて「政府として適切に対応したい」と語った。
- 財務省と金融庁、日銀は国際金融資本市場に関する情報交換会合を開いた。足元の為替相場について「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」との声明文を出した。財務省によると、3者会合で声明文を公表するのは初めて。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Product(国内総生産):高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Index(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値
注目の経済指標と政治イベント
注目は、①FOMC、②日銀金融政策決定会合
13日
- 15:00 英国4月月次国内総生産(GDP)
- 16:00 トルコ4月経常収支
- 21:00 インド5月消費者物価指数(CPI)
14日
- 15:00 スウェーデン5月消費者物価指数(CPI)
- 15:00 ドイツ5月消費者物価指数
- 18:00 ユーロ圏6月ZEW景況感調査
- 21:30 米国5月卸売物価指数(PPI)
15日
- 北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会(ブリュッセル、16日まで)
- 11:00 中国5月小売売上高
- 11:00 中国5月鉱工業生産
- 15:45 フランス5月消費者物価指数
- 21:30 米国5月小売売上高
- 21:30 6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 23:00 6月NAHB住宅市場指数
- 27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
- 27:30 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
- 30:30 ブラジル中央銀行政策金利発表
16日
- 08:50 日本5月貿易統計
- 10:30 オーストラリア5月雇用統計
- 16:30 スイス国立銀行政策金利発表
- 20:00 イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
- 21:30 米国5月住宅着工件数
- 21:30 米国5月建設許可件数
- 21:30 前週分新規失業保険申請件数
- 21:30 6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
17日
- 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 15:00 英国5月小売売上高
- 22:15 米国5月鉱工業生産
- 23:00 米国5月設備稼働率
来週以降
- 6月15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 6月17日:日銀金融政策決定会合
- 7月21日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 7月21日:ECB
- 7月27日:FOMC
- 9月8日:ECB
- 9月21日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月27日:ECB
- 10月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月2日:FOMC
- 11月8日:米中間選挙の投開票
- 12月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月15日:ECB
- 12月20日:日銀金融政策決定会合
本コンテンツの続き
- 注目の経済指標と政治イベント
- 先週の通貨強弱
- グローバルマクロ環境の整理
- チャート分析
- 今週の戸田の相場見通し
- 動画解説
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