目次
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
---|---|---|---|---|---|
USD/JPY | 134.38 | 131.51 | 135.60 | 134.96 | +0.43% |
EUR/USD | 1.0513 | 1.0359 | 1.0601 | 1.0498 | ▲0.15% |
EUR/JPY | 141.34 | 137.87 | 141.99 | 141.68 | +0.24% |
USD/CNH | 6.7313 | 6.6669 | 6.7858 | 6.7085 | ▲0.34% |
CNH/JPY | 19.9716 | 19.6255 | 20.1422 | 20.1175 | +0.73% |
先週の為替相場サマリー
スピードを伴った荒い値動きも、週初と週末のレート差は小さかった
USD/JPY
- ドル円はスピード感のある乱高下。1ドル=134.38円からスタートすると、週初は134.50円を挟んでの値動きが続いた。日本時間16日早朝のFOMCで米国が0.75%の利上げに転じると、同日にスイス中銀が0.50%、英中銀が0.25%の利上げを行い、株式市場が崩れ、S&P500など代表的な株価指数が年初来安値を更新する中、為替はドル売りとリスク回避の円買いが重なり、ストップ注文を巻き込みながら131.51円まで急落。米住宅関連指標が弱かったこともドル売りに拍車を掛けた。ただし金曜日の日銀金融政策会合に向けては、政策据え置きへの期待から次第に円売りが強まり、再び134.50円レベルまで戻ると、135.41円まで上昇し、高値圏の134.96円でクローズ。
EUR/USD
- ユーロはECBの緊急会合と弱い米住宅指標を受けて乱高下。1ユーロ=1.0513ドルからスタートすると、週の前半は1.0450を中心として、1.0400~1.0500のレンジ相場が続いた。水曜日にECBが緊急の金融政策決定会合を開き、イタリアやギリシャなど南欧諸国の国債利回りの急上昇を抑止策を導入すると表明し、乱高下する時間帯も見られた。木曜日には米住宅関連指標が弱かったことをうけてレンジを上にブレイクし、1.0601まで上昇。ただその後はドル買いが再び強まる中で1.0498まで下押してクローズ。
USD/CNH
- 小幅にドル売り、人民元買いが進行。1ドル=6.67313元からスタートし、週初こそドル買いが優勢で6.7858まで上昇したが、このレベルでは人民元の買い意欲が旺盛で、じりじりとドル安人民元高が進んだ。木曜日のアジア時間には一時6.6669まで人民元高が進む局面もあったが、週末はやや値を戻して6.7085でクローズ。
先週のできごと
①FEDは0.75%の利上げを実施、②日銀は金融政策を据え置き、③ECBは国債利回りの急上昇抑止策を導入
13日
- 英国4月月次国内総生産(GDP) ▲0.3%
- トルコ4月経常収支 ▲27.4億ドル
- インド5月消費者物価指数(CPI) +7.04%
14日
- スウェーデン5月消費者物価指数(CPI) +7.3%
- ユーロ圏6月ZEW景況感調査 ▲28.0
- 米国5月卸売物価指数(PPI) +22.9%
15日
- 中国5月小売売上高 ▲6.7%(弱い数値)
- 中国5月鉱工業生産 +0.7%
- 米国5月小売売上高 ▲0.3%(弱い数値)
- 6月ニューヨーク連銀製造業景気指数 ▲1.2
- 6月NAHB住宅市場指数 67
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を0.75%引き上げ1.50%-1.75%に設定
- ブラジル中央銀行は政策金利を0.50%引き上げ13.25%に設定
- 北大西洋条約機構(NATO)は15~16日開いた国防相理事会でロシアによる侵攻を受けたウクライナ情勢を討議した。東部で苦戦を強いられるウクライナへの支援を広げるほか、ロシアの脅威を念頭に東欧への軍備増強を後押しし、ロシア包囲網を強める。
- 米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めた。上げ幅は1994年11月以来、27年7カ月ぶりの大きさ。金融緩和の縮小を始めてからもインフレの加速がとまらず、事前に示唆した利上げペースを上回る強硬策に出た。会合後に記者会見したパウエル議長は利上げを継続する方針を改めて強調し、次回の7月会合の利上げ幅も「0.5%か0.75%の判断になる可能性が高い」と述べた。
- 欧州中央銀行(ECB)は、金融市場の動向を議論する臨時の理事会を開き、南欧などの国債価格急落の抑止策を決めた。ECBが9日の理事会で7月に11年ぶりの利上げに踏み切る方針を示して以降、イタリアなどの南欧諸国の国債利回りが急上昇(価格は急落)しており、市場の安定に向けた対応策が急務になっていた。
16日
- 日本5月貿易統計 ▲2.38兆円
- オーストラリア5月雇用統計 新規雇用者数+6.06万人 失業率3.9%
- スイス国立銀行は政策金利を0.50%引き上げ▲0.25%に設定
- イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は政策金利を0.25%引き上げ、1.25%に設定
- 米国5月住宅着工件数 ▲14.4%(弱い数値)
- 米国5月建設許可件数 ▲7.0%(弱い数値)
- 前週分新規失業保険申請件数 22.9万件
- 6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数 ▲3.3
- 米連邦準備理事会(FRB)の利上げにより、米国で住宅ローン金利が急騰している。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が16日更新したデータによると、30年固定の住宅ローン金利(週平均)が5.78%となり、前週から0.55%上昇した。この週間上昇幅は1987年4月以来、約35年ぶりの大きさとなる。
17日
- 米国5月鉱工業生産 +0.2%
- 米国5月設備稼働率 79.0%
- 日銀は16~17日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を継続する方針を決めた。景気回復はまだ道半ばで、緩和縮小は時期尚早とみているためだ。
- 日銀の黒田東彦総裁は記者会見で、足元の物価上昇について「資源価格上昇によるコストプッシュ型のインフレで、我々が目指す物価上昇とは異なっている」と語った。黒田総裁は今の物価上昇が景気の下押し圧力になっていると指摘し「金融を引き締めると、さらに景気の下押し圧力になる」と述べ、金融緩和を継続する考えを強調した。
- オーストラリアでインフルエンザ患者が急増し、新型コロナウイルスと同時流行する「ツインデミック」ともいえる状況になっている。豪州のインフル流行は、日本での冬の流行をはかる重要な先行指標とされる。コロナ禍で国内のインフル患者は大きく減り、免疫を持つ人が少ない。専門家は8月にも流行が始まる可能性を指摘し、早期の警戒を呼びかける。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Product(国内総生産):高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Index(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値
注目の経済指標と政治イベント
注目は、①米住宅関連指標、②日本など各国の消費者物価指数
20日
- 米国祝日(奴隷解放記念日)
- 核兵器の非人道性に関する国際会議
- 6月の月例経済報告(内閣府)
- 15:00 ドイツ5月生産者物価指数(PPI)
- 22:00 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
21日
- 10:30 豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表
- 17:00 ユーロ4月経常収支
- 17:30 香港5月消費者物価指数(CPI)
- 23:00 米国5月中古住宅販売件数
22日
- 参院選公示(7月10日投開票)
- 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会(24日まで)
- 08:50 日銀・金融政策決定会合議事要旨
- 15:00 英国5月消費者物価指数(CPI)
- 17:00 南ア5月消費者物価指数(CPI)
- 21:30 カナダ5月消費者物価指数(CPI)
- 22:30 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
23日
- EU首脳会議(~24日まで)
- 14:00 シンガポール5月消費者物価指数(CPI)
- 16:15 フランス6月PMI
- 16:30 ドイツ6月PMI
- 17:00 ノルウェー中銀、政策金利
- 17:00 ユーロ圏6月PMI
- 17:30 英国6月PMI
- 21:30 米国前週分新規失業保険申請件数
- 22:45 米国6月PMI
- 23:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
- 27:00 メキシコ中銀、政策金利
24日
- ロシアのウクライナ侵攻から4カ月
- 08:30 日本5月全国消費者物価指数
- 08:50 日本5月企業向けサービス価格指数
- 17:00 ドイツ6月IFO企業景況感指数
- 23:00 米国5月新築住宅販売件数
来週以降
- 7月21日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 7月21日:ECB
- 7月27日:FOMC
- 9月8日:ECB
- 9月21日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月27日:ECB
- 10月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月2日:FOMC
- 11月8日:米中間選挙の投開票
- 12月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月15日:ECB
- 12月20日:日銀金融政策決定会合
本コンテンツの続き
- 注目の経済指標と政治イベント
- 先週の通貨強弱
- グローバルマクロ環境の整理
- チャート分析
- 今週の戸田の相場見通し
- 動画解説
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