最終日は座学なし。朝からホテルを発ちカラワン工業団地を目指します。出発は朝の7:30と早め。それもそのはず、カラワン工業団地への道のりは非常に混むのです。下の写真の通り、国道一号線?を東へ東へと進むなのですが、実はこの道が東へ行くための唯一の公道となっておりまして、そのため大変に混むと。結局47Kmの道のりを2時間半程度掛けてカラワン工業団地へ到着。現地の駐在員の方の苦労が偲ばれます。

 

行きのバスの中で時間を持て余しましたのでしっかりと予習をしました。現在完成しているフェーズ1の敷地面積が205ヘクタール。東京ドーム一つが4.7ヘクタールですので、東京ドームが43個分の面積です。さらに、現在開発中のフェーズ2・フェーズ3が存在しますのでかなり広い敷地と言うことが出来ると思います。

 

ジャカルタから47Km、空港まで70Km、港まで50Kmと立地条件が良いことが人気の理由の一つのようです。工場に必要な部品を輸入する、工場で作った商品を輸出すると言うことを考慮すると空港までの距離と港までの距離は魅力的。加えてジャカルタとカラワンを結ぶ高速鉄道を建設中なので、これが完成するとさらに利便性が高まります。

 

投資指針ですが、業種によって定まっており、基本的には海外資本100%で法人設立出来るのですが、自動車産業に限っては最大で49%までしか出資が認められていません。また例えばお札や通貨の発行に関する製造業、木材に関する製造業は別途国のライセンスが必要となるなど、規則は細かく定まっている模様。

 

カラワン地域の人口は2.27M、その内34歳以下の人口は60%。週に40時間の労働が通常勤務とされており、月の賃金は平均Rp3,606,000(USD265)、これをざっくり時給換算するとUSD1.65/時間となりますのです、中国や他のASEAN地域と比較しても安い労働力と言えると思います。

 

実際に見学して感じたのは圧倒的に日本企業の進出が目立つこと。日本人として日本の製造業の方々が海外で活躍しているのを目の当たりにするのは非常に誇らしいです。私もいつかサプライチェーンに関わる仕事がしてみたい、こう言う気持ちが芽生えました。金融に携わりながら、製造業の仕事にも携わる方法を模索して行きたいと思います。さすがに欲張りでしょうか 笑

 

さて一通り敷地内をバスで回った後、団地の近くの日本人向けのレストランで食事をとります。当日は時間の関係でお弁当が手配されており、それを食します。中身は焼肉弁当。周りの外国人生徒は「オー、ジャパニーズ弁当」などとワイワイしていますが、私は日本人としてしっかりと味チェックを実施。上から目線ですみません。味は美味でした。中国の平均的な日本食弁当を凌駕しております。現地の駐在員の方がかなり熱烈指導しているものと思われます。

 

再びバスに乗り込み、次の目的地へ向かいます。その途中にAppleでサプライチェーンのManagerを務めていたアメリカ人の隣に座ったので、今後の製造業に関する意見を聞いてみました。仮にGさんとしますが、このGさん、元々は京都に留学して日系大手企業での就業経験もある方で、年齢も私の一回り上の方なのでよく色々と教えてもらっています。

 

Gさん曰く、GDPベースで物事を考えたときに大きくGDPに貢献するのは消費であると。その消費を行うのは誰かと言うと、いわゆる中所得者層であると。そしてASEANを中心にこの中所得者層が増えていくことを考えればまだまだ物を作って販売すると言うビジネスは伸びると考えているとのことでした。個人的にすごくしっくりくる考え方でしたので共有いたしました。

 

さて今回の授業の最終目的地、Kapal Api Coffee にやってきました。Kapal Api Coffee はインドネシアで圧倒的地位を確立しているコーヒーメーカーです。なんと我々を伝説のコピ・ルワックコーヒーでもてなしてくれました。ジャコウ猫コーヒーと言えば少し馴染みがあるかもしれません。ジャコウ猫が口にした未消化のコーヒー豆が香りが良いとされており、極めて高級なコーヒーです。味は大変美味しゅうございまして香りも素晴らしかったです。工場の中の見学スペースにはジャコウ猫そのものが保管されておりましたので、ご参考までに写真を添付します。

 

 

なおインドネシア国内では砂糖やミルク入りのインスタントコーヒーの販売割合が高いこと、ただし徐々にブラックコーヒーや、家で淹れることが出来る粉末タイプのコーヒの売り上げも伸びてきているとのことで、家庭の消費傾向の移変りが見られているそうです。

 

結局お土産まで頂いてしまい、工場を後にするのですが、ふと工場で働く方々や、プレゼンを務めてくれた方々の対応が日本人に似ていることを感じました。例えばスピーチを行う前に「今日は来てくれてありがとう、皆さんが来ることを楽しみにしていました」と言う挨拶の下りや、コーヒー粉末にお湯を注いでくれる方の丁寧な姿勢、工場の見学を先導して頂いた従業員の方の丁寧な説明、全てが日本の工場を見学した時の感覚を思い起こさせます。なるほど、日系企業がインドネシアを選ぶ理由がここにもあったかと思いました。短期滞在でしたが、インドネシア人は日本人気質のところがあると感じました。

 

さて帰りは国道一号線を西へ西へ47Km進むのですが、なんと3時間半掛かりました。やっぱりインフラ整備が必須ですね。工事現場をみながら帰ったのですが、そこまで急いで工事を進めている感じはしません。背景はさておき、仕事に対する姿勢が、インドネシアと中国で成長に大きな差がついた一つのポイントではないかなと感じた次第です。

 

計4話お付き合い頂きありがとうございました。本記事がCEIBSのGEMBAを志す皆様の参考になれば幸いです。