2019年7月22日、上海証券取引所に新たな市場「科創板」が創設され、一般開放・取引開始となりました。科創板は、投資家からの投資を通じて、科創板に上場する企業の技術革新のレベルをより一層高めることが目的となります。初日は厳選された25社が上場を果たし無事に開場・閉場が行われました。

科創板の初日の取引解説

初日の取引のデータが上海証券取引所に掲載されていましたので、以下データ(表)を使って解説を行なって行きます。

※上海証券取引所よりデータ(表)抜粋
まず上海証券取引所には3つの市場が存在します。「主板A」「主板B」「科創板」の3つです。主板Aは国内投資家向け、主板Bが国外投資家向けとして整備されていましたが、主板Bの取引があまり活発でなく、外国投資家への市場開放に伴い、直に統合されるのではないかと言われています。
次に主板Aの上場企業数は1473社に対して、主板Bは50社、科創板は25社と、特に主板Bと科創板の上場はそれぞれ厳選されていることが分かります。
そしていよいよ科創板ですが、初日の取引が上場25社に対して、485.78億人民元と取引ボリュームが非常に大きかったことが分かります。上場1473社の主板Aでも1563.53億人民元と3.2倍程度の取引量ですから、驚異的な取引量であったと言えるでしょう。投資家の期待が大きく表れていると言えます。
また科創板の平均株価収益率の高さ(81.43倍)も目に止まります。株価収益率は15倍程度で適正と言われているのですが、科創板平均は明らかに適正を上回っています。これは株価が企業収益よりかなり高く評価されている、つまりそれだけ期待されていると言うことが出来ます。一方で流石に買われ過ぎですので、しばらくすると売り戻されると思います。

科創板に対する声明【易会满主席】

数値からの分析はここまで。次に上海証券取引所から公表されている以下一文を振り返って本日の纏めとしたいと思います。証券監督管理委員会、易会满主席らの声明を纏めたものと思われます。
下一步,上交所将不忘初心、牢记使命,认真贯彻落实党中央、国务院重大决策部署,在中国证监会的坚强领导下,会同市场各方共同努力,坚持市场化法治化的改革方向,充分借鉴国际最佳实践,遵循“四个敬畏、一个合力”的理念,继续深入推进设立科创板并试点注册制改革工作,为全面深化资本市场改革、更好服务创新驱动发展战略和经济高质量发展、支持上海国际金融中心和科技创新中心建设,做出新的更大的贡献!次の段階では、上海証券取引所は初心・使命を忘れず、党中央委員会・国務院の方針を徹底し、証券監督管理委員会の強力な指導の下、各市場と相互努力、 法治化・市場化改革を堅持し、海外の市場から学び、“四个敬畏、一个合力(市場の尊重・投資家保護・市場開放・金融リスク防止に気を払うことで起こる一つの相乗効果、市場の安定)”の理念に従い、継続して科創板登録手続きの改革を進め、資本市場改革を深め、より良いサービスの創新により発展戦略と質の高い経済発展を推進し、上海国際金融センターと科学技術創新センターの建設を支援し、新しく、そしてより大きな貢献を行う!
上記意気込みを見て感じるのは、上海を金融センター、そして科学技術創新の中心として成功させて行きたいと言う強い意思・自信、そしてまだまだこれからも海外市場から学ぶのだと言う成長に貪欲な姿勢です。他国の良い点を吸収し、強い意思・自信を持って改革に取り組む。このマインドこそが、近年の中国経済成長の真のドライバーであるのかも知れませんね。
本日はここまで、為替とは関係ないと思うかも知れませんが、為替とは債券と株の通り道、債券市場や株式市場を注視してこそ為替相場が見えてくると考えています。引き続き金融市場調査や為替リスク管理に関する情報発信を行っていきます。

<参考文献・WebPage>
科創板:http://star.sse.com.cn/