この記事は、
- 海外資産を持っている(株・債券・不動産・投資信託)、個人投資家の方
- または、これから海外資産に投資をおこないたいと興味を持っている方
に向けての解説記事です。
企業(法人)の海外取引における「為替リスクヘッジ」について知りたい方は、下の記事にお進みください。
【図解あり】企業の海外取引における為替リスクヘッジとは?意味と仕組みをわかりやすく解説
為替リスクヘッジとは、外国為替相場の変動による損失を限定する行動のことです。この記事では、外国為替の専門家である戸田が、海外取引をおこなう企業が理解しておくべき、為替リスクヘッジの意味や仕組みを、図解でわかりやすく解説しています。
海外資産へ投資をおこなう際には、「為替ヘッジ」の意味や仕組みを理解しておく必要があります。
特に、投資信託の商品選びのときに、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」を選択する場面があり、どちらを選ぶべきかわからないと迷われる方が多いです。
この記事を読んでいただけたら、
- 「為替ヘッジ」の意味と仕組みがわかる
- 海外資産への投資を行う際に、「為替ヘッジ」を行うべきかどうかがわかる
- 投資信託の場合には、「為替ヘッジあり・なし」のどちらを選ぶべきかを判断できる
ようになるでしょう。
まずは「為替ヘッジとは何か」、その意味と仕組みを理解しましょう。
目次
為替ヘッジとは?意味と仕組みを理解しましょう
そもそも、外貨建て資産を持っていると、為替リスクが存在します。外貨建て資産とは、外貨や外貨建てで取引されている金融商品、不動産などのことです。
【為替リスクとは?】
外国為替相場の変動によって、損失が発生するリスクのこと。 |
例えば、円高が進んでいるときには、外貨を円に両替したときの日本円が少なくなります。
為替ヘッジは、そのような円高リスクをヘッジするために行います。
反対に、円安が進むときには、円ベースでの資産は増えます。
ですので、為替リスクに関して、あまり気にしない方が多くなる印象です。
また、多くの個人投資家の方は、特に投資信託の商品選びをきっかけとして、為替リスクについて考え始める事が多いようです。
【投資信託とは?】
株や債券や不動産などの金融商品を組み合わせたもの。 投資信託にはそれぞれテーマがあります。 例えば、安全運用、ハイリスク超成長型などです。 本来は自分で資産のリスクやリターンのバランスを考えて、投資する金融商品を分散させます。 しかし、一般の方には難しく大変ですので、アセットマネジメント会社(通称アセマネ)が設計・パッケージ化、それらを金融機関が代理販売しています。 |
その投資信託の商品の中で、「為替ヘッジあり・なし」を選択する場面があり、それが皆さんが買うときに迷うポイントになっています。
為替ヘッジはどんなときに必要?2つのケースで考え方を理解しよう
先ほど、「為替ヘッジは、円高リスクをヘッジするために行う」と、ご説明しました。
では、どのような場合に、「為替ヘッジを行うべきなのか」「為替ヘッジがどのくらい重要になるのか」。
その判断をするために、具体例を見ていきましょう。
実際に、「アメリカのA社の株式を持っている場合」と「期間10年の米国債を持っている場合」の、2つのケースを見ていきます。
ケース⑴:アメリカのA社の株式を保有している場合
例えば、アメリカのA社の株式を保有している場合を、想定してみます。
A社株価の過去10年の変動率は、平均で年100%だったとします。
(この計算の時点では純粋な株価変動のみで、為替による損得は考えていません)
このケースの場合、為替ヘッジの重要度は、あまり高くありません。
なぜなら、ドルと日本円の「過去十年の相場変動率」は年10%程度なので、合計の損益に与える影響が少ないからです。
反対に、A社株価の変動率が10%程度だった場合、為替相場変動の影響が大きくなるので、為替ヘッジが損益に与える影響は大きくなります。
ケース⑵:期間10年のアメリカ国債を保有している場合
次に、期間10年のアメリカ国債を保有している場合を、想定してみます。
期間10年のアメリカ国債の利回りは、2022年7月時点で年利3%前後です。
ドルと日本円の「過去十年の相場変動率」は年10%程度なので、元本と利息に掛かる為替相場変動の影響がとても大きくなります。
このケースの場合には、為替ヘッジが損益に与える影響は大きくなります。
したがって最終的に日本円に戻すことを考えているのであれば、少なくとも為替ヘッジを検討すべきです。
「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」のどちらを選ぶべき?
結論として、「為替ヘッジあり」か「為替ヘッジなし」のどちらが良いかを考えるときは、「対象物の変動率を見る」ことが重要なポイントになります。
投資信託の場合
投資信託で迷っている方は、まずは「投資信託 説明書(目論見書)」をしっかり読みましょう。
その商品の性質、特に変動率をイメージしたうえで、「為替ヘッジあり」を選ぶかどうかを判断しましょう。
株や債券の場合
株や債券の場合には、為替ヘッジあり・なしの選択が、そもそもありません。
ですので、自分で為替リスクをヘッジするかどうかを判断します。
個人的な見解となりますが、結論を言うと、国債などの利回りの低い投資の場合は、為替ヘッジを検討して良いと思います。
個人の場合、ヘッジ手段が限られています(為替予約という方法が使えない可能性が高い)。
個人で為替ヘッジをおこなう手段としては、ヘッジしたいタイミングでFXでドルを売って円を買うという方法なども考えられます。
これを行うと、円高になったときに、外貨建ての資産からは損失が発生しますが、FXからは利益が発生するので、為替ヘッジの効果があります。
まとめ
この記事では、海外資産へ投資をおこなう個人投資家の方が、理解しておくべき
- 為替ヘッジの意味と仕組み
- 為替ヘッジが必要になる場面
- 「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」のどちらを選ぶべきか
を解説してきました。
今後、海外資産への投資をされる方の、お役に立てられたら幸いです。