こんにちは、戸田です。
本日は為替と金利の関係について簡単にまとめてみたいと思います。
それでは早速みていきましょう。
そもそも金利とは?
私は銀行員時代に上司から「金利は全ての出発点」と教わったことがあります。例えば普段取引するFXの為替レート、それからみなさんが受け取る銀行預金の利息、FXのスワップポイント、こういったものは全て金利が関係しています。
ですが一括りに金利と言ってもさまざまな金利があります。そこで今回は金利を以下3つに分類したいと思います。
- 政策金利
- 短期金利
- 長期金利
主な違いは「期間」です。それでは各金利ごとの為替への影響をみていきましょう。
政策金利
政策金利は中央銀行が決定する短期の金利です。国によって定める期間は異なりますが、例えば米国は翌日物の金利(FF金利:フェデラルファンド金利と呼ばれる)を政策金利に定めています。
翌日物の金利と密接に結びつくのが私たちが日々受け取ったり、支払ったりする「スワップポイント」です。なぜなら私たちのポジション(ドルの買い持ち or 売り持ち)も、一日が経過するごとに再計算されているからです。
詳しくみていきましょう。
FX取引は実は2営業日後決済の取引です(外為市場の慣行)。そのため、ほっておくと2営業日後に本当に決済をしないといけない(例えば円をドルに替えないといけない)です。ですが私たちはレバレッジを掛けて取引しているので、本当に決済されるとそんな大量の資金を急には用意できなくて困るわけです。
そこでFX会社は、私たちが実際にポジションを閉じるまで、1日ずつポジションの決済日を延長しています。1日ずつ延長しますので、中央銀行が定める翌日物の金利(FF金利)に近い水準をスワップポイントの計算に用いています。
※厳密にはスワップポイントは2通貨の金利水準の「差」によって計算されます
したがって政策金利の上がった、下がったは、スワップポイントに大きな影響を与えるわけです。
スワップポイントが大きいか小さいかは私たちの投資判断に影響を与えますよね?新興国通貨が好まれる理由もスワップポイントが高いからだと思います。
ゆえに政策金利と為替レートの関係は非常に深いと考えられています。
短期金利
短期金利とは一般的に1年以内の金利を指します。たまに私がYouTube等で10年債との比較で2年債を短期金利と呼んでいることもありますが、厳密には間違いです(涙)。
代表的な短期金利はLIBOR(ライボー)です。LIBORとは、「London Interbank Offered Rate」の略称で、ロンドン市場での⾦融取引の参考として用いられます。 主要5通貨(⽶ドル・英ポンド・スイスフラン・ユーロ・⽇本円)について、対象期間を翌日物、1週間物、1カ月物、2カ月物、3カ月物、6カ月物、12カ月物の7つとして公表し、これが様々な⾦融取引における参照指標として利⽤されています。
例えばですけれども銀行の融資の形として「LIBOR+スプレッド〇〇%」と言った変動金利型の契約もあります。みなが確認できる指標ですから公平性があるよね?ということなんです。
ただしこのLIBOR、不正に使用されていたとして、現在は廃止を前提にさまざまな準備が進んでいます。
ではこの短期金利は為替とどのような関係があるのでしょうか?
FXと関係の深いのが政策金利であることは先ほどお伝えしました。ですが政策金利が変更になるのは、定期開催される金融政策決定会合を経なければなりません。
しかし短期金利は政策金利の変化を予測しながら日々変化します。ですから私たちは短期金利の水準を追うことで、市場参加者の政策金利変更織り込みを見出すことが出来ます。
そのため短期金利と為替レートの関係は、政策金利と為替レートの関係に次いで、深いものになります。
長期金利
長期金利とは一般的に1年超の金利を指します。もっとも一般的には10年債の利回りを指すことが多いです。
10年債は代表的な投資対象で、特に米国の10年債には世界中の機関投資家が投資しています。リスクの低い米10年債を買うか、それともリスクをとって米株価指数(例えばS&P500)を買うか、機関投資家は日々こう言ったことを考えています。
ゆえに米10年債と米株価指数には深い関係があります。米10年債が売られると米株価指数が買われやすく、米10年債が買われると米株価指数が売られやすい、これが教科書的な値動きです。ただし、双方共に投資対象としての役割がありますので、近年の金余り相場の中では、両方が一緒に買われるケースも珍しくありません。
なお蛇足ですが長期金利(米10年債利回り)が上昇するということは、米10年債は売られているということですので覚えておきましょう。間違えると金融機関出身の人から白い目で見られるかも・・・
なお利回りと債券価格の関係が分からない方は以下をご参考ください。
ということで長期金利と為替に直接的な関係はないです。ただし長期金利と関係が深い株価指数が下落したり上昇したりすると、いわゆるリスクオン、リスクオフと言いますか、その雰囲気が為替にも繋がるということが大いにあります。
※一般に長期金利(米10年債利回り)が上昇するとリスクオン、長期金利(米10年債利回り)が下落するとリスクオフです
ゆえに長期金利も見ておいて、リスクオン、リスクオフの判断材料とすると良いと思います。
まとめ
さて最後に簡単にまとめたいと思います。
- 為替レートと最も密接に結びつく「政策金利」
- 政策金利についで為替レートと結びつきの深い「短期金利」
- 株価指数と密接に結びつく「長期金利」
- ただし長期金利や株価指数の動きが間接的に為替レートに影響をあたえる(リスクオン or リスクオフ)
いかがだったでしょうか?なかなか金利に触れる機会はないと思いますが、金利はたとえばオプション取引などの計算にも重要な影響を与えるファクターですので、金利に強くなることが金融に強くなることの第一歩と言えると思います。
ご興味がある方は、引き続き一緒に学んでいきましょう。