こんにちは、戸田です。
外為市場で円安が加速しています。2021年10月15日現在、ドル円は114円台に突入しました。
しかしなぜ「いま」為替は円安なのでしょうか?
アイデア出しと言うことで、円安の要因を色々と考えてみたいと思います。
円安要因のおさらい
これまで2回にわたって円安の要因を解説してきました。
「【円安】終わりの始まり」では以下3点を指摘しました。
- 日米金融政策の差(日本の緩和的な金融政策)
- 貿易黒字の縮小
- 日本経済の停滞
さらに「【円安要因】10兆円規模の大学ファンド創設」では、大学ファンドの運用そのものが大きな円安要因であることをお伝えしました。
そこで今回はさらに円安要因があるのか考えてみたいと思います。
他にも円安要因はあるのか?
1点目は「政治の混迷」です。菅氏が在職たったの384日で首相辞任に追い込まれ、岸田氏が後を継ぎましたが、海外からみれば日本政治の混乱に映ることでしょう。
私はCEIBSと言う経営大学院を卒業したのですが、経済の授業で、教授から、なぜ日本は近年成長出来ないのか?説明してください。と聞かれたことがあります。とりあえず意見を伝えることが学生に求められているので思いつくまま「大企業の人事制度」かなぁと答えた記憶があるのですが、まぁそれはさておき、教授はこう言ってました。
「政治が安定していない」
おっしゃる通りでございます。
中国をみれば習近平氏が約9年間(もともとは5年間の予定)、米国は基本的に4年間~8年間を一人の大統領が務めます。
コロコロ政権や首相が替わっていたら、政策の良し悪しはさておき、成し遂げられるものは少ないですよね。
と言うことで海外のファンドが円売り要因の一つとして「政治の混迷」を意識している可能性はあると考えます。
2点目は「日本がインフレに脆弱」という点です。
これは志摩力男さんが動画で指摘していて、たしかにと思ったのでご紹介させて頂きます。
※志摩さんの動画は参考資料に載せておきます。
いま世界はインフレ圧力にさらされています。コロナで停滞した経済活動が少しずつ再開に向かう中で、米中対立の影響でサプライチェーンが分断したこともあって、以前のように原材料が調達できず、結果として需要と供給のバランスが崩れ、モノの値段が上がっており、グローバルにインフレ圧力が高まっています。
もし日本にもインフレが伝播するとどうなるのか?日本のモノやサービスの値段があがります(つまりインフレになります)。ではそれを抑えるために日本は利上げを実施できるのか?難しいかも知れないです。
なぜなら利上げをすると金利(利回り)が上昇する、つまり債券価格が低下するからです。
※利回りと債券価格の関係が分からない方は以下をご参考ください。
と言うことは誰が痛むのでしょうか?債券保有者が痛むわけです。
それは誰か?
以下の一番右の円グラフをご覧ください。
日本の国債及び国庫短期証券(国債の一種)の保有者の75%以上は「日本銀行」や「民間の金融機関、公的年金」であることが分かります。つまり利上げを実施すると痛むのは政府や民間の金融機関なのです。
現段階で利上げを実施すると、利上げを実施した張本人とそれと密接に結びつく隣人(民間の金融機関)が痛むので、まずは債券の買入を終了させて、債券を償還させていきたい(手持ちの債券を手放していきたい)ですよね。ですから日本は機動的に利上げを実施できないと思います。ゆえにインフレが日本を襲う可能性があり、それをヘッジファンドなどがチャンスと捉えて円売りを仕掛けていると言う推測です。
わたしは確かにあり得るなと思いました。
他にも探せば色々と見つかりそうですが、ひとまず本日のところは円安要因の発掘作業はここまでにしたいと思います。
円安はどこまで進むのか?
現段階ではなんとも言えないのですが、月足のドル円チャートを眺めてみるとまずは114.40円レベルをクリアに上抜けるか?が注目です。
※もしかしたらみなさんがこの記事をご覧頂く頃にはすでに114.40円レベルを突破しているかも知れません(笑)
抜けた場合には2015年の高値125.86レベルを上限とした新たなレンジに突入していくのかも知れません。つまり114.40円~125.86円にレンジが移っていくイメージです。
過度に円安が加速すれば、輸入貿易会社やエネルギー卸の会社から悲痛な声も聞こえてくると思います。勢いよく上昇した場合には、政府の要人発言や日銀の介入にも警戒したいですね。
さて本日はここまでです。
円安、すなわち為替レートの変動はさまざまなモノやサービス、商売や投資に影響を与えていきます。一緒に注意深く見守って行きましょう。
<参考文献>
外為どっとコム 公式FX動画ch:FX予想「ドル/円 150円相場の可能性 これからは為替の時代へ」10月15日(金)志摩力男 https://www.youtube.com/watch?v=tqmDlD_xTQY&t=920s
日本証券業協会:債券と金利って、どういう関係なの? https://www.jsda.or.jp/jikan/qa/013.html
財務省:国債等の保有者別内訳 https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf