こんにちは、戸田です。

本日は日銀の金融政策についてまとめました。

各国の金融政策を把握し、将来の変化を予測していくことはファンダメンタルズの基礎になります。一緒に見ていきましょう。

そもそも日銀とは

日銀とは「日本銀行」の略称です。日本で唯一の中央銀行としての機能を果たしています。その機能は簡単に言ってしまえば「民間銀行の親会社」のイメージですが、日本銀行法をもとに正しくみていきましょう。

第一章 総則

第一条(目的)

  1. 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
  2. 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。

簡単解説:まずは紙幣と通貨の発行、及びその調節が目的。次いで、民間金融機関の活動を支援する銀行であることが記されています。

 

第二条 (通貨及び金融の調節の理念)

日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

簡単解説:現在は物価2%の目標を掲げて運営しています。

 

私たちの通貨や紙幣を発行し、民間金融機関の活動を支援し、物価の安定を図る機関であることがお分かり頂けたかと思います。

 

現行の日銀金融政策(2021年9月22日)まとめ

続いて現行の日銀金融政策をみていきましょう。こちらは2021年9月22日に日銀が公表した「当面の金融政策運営について」をもとにまとめています。

2段階の政策金利(長短金利操作=イールドカーブ・コントロール)

  1. 短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
  2. 長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。

2種類の量的緩和

  1. マネタリーベース(市中の預金量)の拡大方針を継続
  2. ETF(上場投資信託)およびJ-REIT(不動産投資信託)について、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。
  3. CP(約束手形)、社債等については、2022 年3月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。

その他

  1. 気候変動対応オペ:民間における気候変動対応を支援するため、わが国の気候変動対応に資する投融資の残高の範囲内で(民間金融機関に対して)行う資金供給オペレーション (貸付利息0%)
  2. 新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム、総枠約75兆円、期限2021年3月末)
    1. CP・社債等の買入れ(残高上限:約20兆円)
    2. 新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ(資金供給の対象<担保として差入れられている民間債務>:約25兆円)
    3. 新たな資金供給手段(資金供給の対象<緊急経済対策における無利子・無担保融資を中心とする適格融資>:約30兆円)

以上が現状の金融政策になります。

FRB(アメリカの中央銀行)やECB(ユーロ圏の中央銀行)など先進国で緩和的な政策を続ける中央銀行と(経済規模を勘案して)比べても、日銀の方がより大規模な金融緩和を行っていると言えます。これほどまでの大規模な金融緩和をいつまで続けるのか?ここが今後の焦点になります。

 

次回金融政策決定会合(2021年10月28日)の注目点は?

随分と緩和的な金融政策を続けている日銀ですが、まだまだ景気が上向かないので、政策金利の変更はまずないでしょう。可能性があるとすれば、国内のコロナワクチン接種率(2回接種)が2021年10月25日現在で70%を超えてきた中で、コロナ関連のプログラムを早期に打ち切るかどうかです。

実はロイター社が取材?した記事は年内打ち切りの可能性を指摘しています。記事は参考文献に載せておきますが、「日銀では、特別プログラムはコロナ禍での異例な政策対応であり、役割を終えつつあるとの声が出ている」そうです・・・

折しもロイター社の記事が公開された21日に日経平均株価が1.5%超の下落を記録しました。この点に関しては黒田日銀総裁の会見において記者から質問が投げかけられ、またそれに対して総裁が回答する可能性もあると思います。

この点は注目ですね。

 

今後の円相場は?

現在のUSD/JPY:114.07円

USDJPY_Daily_20211027

最近はめっぽう円安が進んでいますよね。この理由として、海外(特に米国)との金融政策の差が挙げられると思います。

具体的には米国は金融緩和の縮小(テーパリング)、利上げへと進む中で、日本はまだまだ何も動きがないことがコントラストになっています。近い将来の話として米国の市中の預金量の増加ペースは緩やかになり、かつ金利も引き上がっていくことが想定されますが、日本の預金量の増加ペースは不変であり、かつ金利も不変ということで日本円を売って米ドルを買う動きに繋がっていると考えます。

早く日本の経済も回復すれば良いのですが、政治の混乱もありますし、どうなるかは不透明なところが大きいでしょう。ゆえに私は円安目線を維持しています。

他にも円安の材料を挙げればキリがないのですが、それについては以下の関連記事に詳しく記載していますので、そちらをご参考ください。

【円安】終わりの始まり

【円安要因】10兆円規模の大学ファンド創設

円安の要因を洗い出してみました

 

それでは本日はここまでとなります。

明日はいよいよ日銀の金融政策決定会合、重要なイベントですので、一緒に見守りましょう。

 

参考文献

E-GOV:日本銀行法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000089

日本銀行:中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入 https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf

日本銀行:気候変動対応オペの概要 https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210922c.pdf

日本銀行:当面の金融政策運営について https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210922a.pdf

ロイター:焦点:日銀コロナ特別プログラム、役割終了の見方 政府対策など見極め https://jp.reuters.com/article/boj-covid-idJPKBN2HB19V