皆さまはじめまして。本ブログを執筆してます、戸田と言います。

本日は今まで筆者が多くのお客様から質問を頂いた外国為替相場を予想することは可能なのか?と言う疑問についてお答えしようと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

外国為替相場は本当に予想可能なのか?

私は元銀行の為替ディーラーで、これまで約10年間為替の世界で仕事をしてきました。従って、平日数時間はかならず為替相場をチェックしてきましたし、相場をみながら数千万ドルの外国通貨ポジションを保有したこともあります。また銀行内の為替の専門家として為替相場セミナーを日本と中国で合わせて10回以上行ないました。つまり為替の専門家と言うのが、私のバックグラウンドでございます。

さて、これまでに本日のテーマ(外国為替相場を予想する事は可能か?)について周りの方に問いかけたことがあります。すると、A君は為替相場の予想は不可能だと答える一方で、Bさんは為替相場は予想可能だ、それも結構自信があると言います。なかなか面白いことに、銀行の方でも回答に違いがありました。それだけ人によって見方が異なる議題なのだと思います。

外国為替相場を予想する事は可能である

ただし100%の確率で予想を当てることはほぼ不可能だと思っていまして、例えばドルが上がるか下がるかを仮に50対50として、これを例えば均して55対45、60対40、といったように正答率を上げていく事は可能だと思っております。 なんだその程度の割合か、全然大した事ないなと思うのは数字のまやかしでございまして、投資や借入の金額と言うのは非常に大きな金額で実行しますし、貿易は何回も何回も年中行うものですから、正答率は高いに越した事ないわけです。 なぜ外国為替為替相場を予想出来ると考えているか? それはディーリングルーム、すなわちトレーダーの集まる部屋で一握りの人たちが長期間好成績を残し続けるのを実際に見てきたと言うことが一つの拠り所です。ようは実際に高い確率で予想出来ている方々がいましたと言う話です。そしてその方々は往往にして経験豊富なシニアディーラーでして、相場分析を怠らず、真摯に相場と向き合い、政治・経済に精通しており、世の中で何が起こっているのかを正確に把握しているのが特徴でした。 10年間相場を追い続けてきた感覚としても、政治と為替の関係は非常に密接である、つまり政治を先読み出来る人はある程度相場を予想出来ると言う事は自分の中で確信に変わりつつあります。ただし政治を先読みする事は経済情勢・歴史・地理・宗教こういった分野に幅広く精通しないといけない訳ですから一筋縄には行きません。 外国為替相場予想の具体例をみていきます 例えば2016年の英国民投票で欧州連合からの離脱が支持されたことは、当時日本ではまさかの投票結果と捉えられた訳ですが、それは英国という国の歴史や国民性・現状を世界の反対側の日本人の我々が正しく把握していなかったからとも言えます。お恥ずかしながら筆者もその一人でありました。 ソフトバンクの孫正義さんは相場を読むことを得意としています。実社会で大きな成功を収めた方ですから、世の中の動きを2歩3歩と先読みして企業活動を行なっているのかもしれません。事実としてソフトバンクが英ARM社を約3.3兆円で買収したのはBrexit決議後1ヶ月以内でした。おそらく孫さんは英国民投票の行方を頭に入れながら、水面下で案件を進め、Brexit決議直後に即座にGOサインを出してディールを締結させたのだと思います。GBP(英ポンド)はBrexitで10%以上急落しましたから、それだけで投資価格を大きく抑える事が出来た訳です(買収金額は約3.3兆円、低く見積もっても10%以上は値下がりしていますからざっくり3,300億円以上の節約)。これは孫さんが人並外れて先を読む力があるので得をしたと言うエピソードです。 逆に現在流行っている相場分析手法でそこまで役に立たないなと思っているのが、過去の経済指標やチャート等を山のように集めてきて(所謂ビッグデータ)、分析して将来を予想するという手法です。これらデータの分析そのものは有用だとは思うのですが、世の中はそれだけでは動いていないのでは?と言うのが私の主張になります。 外国為替相場予想の分析例 2019年2月28日にベトナムで開催される米朝首脳会議で何が起こるか?昨日トランプ大統領がツイッターで「北朝鮮はこれから違うロケットを飛ばす、それは経済のロケットだ!」と発言していた。と言う事は2月28日はポジティブな会談になるかもしれない。さて、その数日後に期日を迎える米中貿易摩擦(停戦は3月2日まで)は進展しているだろうか?そう言えば米ムニューチン長官が来週北京で会合があると言っていたのでどうも全く進展していないと言うことはなさそうだ。あれっ、実はこの二つのイベントはそんなに日にちが離れていない、まさか何か繋がっているのか?(と言う仮説を立てる事がポイントです)噂では習主席もベトナムに向かうとの報もある。ベトナムで米朝和解を中国が取り持ち、貿易では中国が米に譲歩すると言うのも考えられそうだ。これなら中国側の面子も立つ。現在の投資家心理は米中貿易摩擦懸念根強いが基本線であるから、上記仮説が正しければ前提が崩れ相場は反転しそうだ。であれば中国株は値を戻して、元安は転機を向かえる可能性が高い。引き続き米中首脳陣の動きに注目しつつ、仮説が正しいものかどうかを見極めよう・・・、とあくまで想像の域を出ない話ですが、このように政治スケジュールや各国間の条約の内容を予想していくことが重要です。 ※2019年2月10日現在 ですので、例えばアナリストがビッグデータ分析をしました、と言う場合にはそれは確かに役に立つ情報だけれども、そればかりを鵜呑みにするわけにはいかないよねと、政治の動きをしっかりとウォッチしないといけないよねと、こう言うイメージです。 外国為替相場予想の結論 外国為替相場を予想する事は一朝一夕では出来ません。簡単な事ではないですし、私も現在でも修行の身です。為替が本業でない方が軽い気持ちで大きなポジションを保有する事はオススメしません。一方で為替を予想する事そのものは将来を先読みする事、すなわちビジネスマンとしての資質を高めてくれるものであると思います。おそらく500社以上のお客様とお会いしてきましたが、為替管理を任されている方は、嫌が応にも政治経済に関して詳しくなっていく傾向がございました。 本日はここまででございます。今回は中国に特化したテーマと言う訳ではございませんでしたが、今後は中国に特化したテーマも多く取り入れていく予定でございます。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。