こんにちは、ちょびっぴです。みなさん人民元には種類があるということをご存知ですか?私たちが普段使っている取引口座には、CNHという通貨コード1 種類しかないと思います。しかし人民元にはオンショア人民元(CNY)とオフショア人民元(CNH)の2種類があり、今までCNYについてはあまり深く考えず、2つの違いをよく理解していないままに人民元をトレードしていました。今回はオンショア人民元(CNY)とオフショア人民元(CNH)、2つの違いについて戸田さんに詳しく聞いてみたいと思います。
目次
✍️オンショアとオフショアってどういう意味?人民元には2つの市場がある
ーそもそもオンショアやオフショアという言葉自体、私にとっては聞き慣れない言葉だったのですが、どういう意味なのでしょうか。
戸田裕大さん(以下、戸田) そうですね、まずオンショアというのは金融用語で国内口座、居住者用の口座のことです。オフショアというのは、非居住者用の口座のことを言います。「shore」とは日本語で「岸」という意味ですよね、「on」っていうのは「上」っていう意味ですからオンショアっていうのは要するに「岸の上」っていう意味です。オフショアっていうのは「岸の外」っていう意味です。
例えば、もし僕が、香港に住んでいないけど香港に口座を持っていたら、香港の金融機関からすると「非居住者が持っている口座」ということになり、オフショア口座ということになりますね。金融ではそのような使い方をします。
ーなるほど、私が海外に口座を作ったら、それはオフショア口座になるということですね。
戸田 ちょびっぴさんの居住地が日本のままであれば海外の口座はオフショア口座ということになります。要は税の支払いや、統計の作成などに関する仕分けが必要なので、オフショアとオンショアを分けているんです。
ー人民元にはCNYとCNHがあって国内で取引する市場と海外で取引する市場を分けているんですよね。
戸田 中国内で取引する人民元をCNY(オンショア人民元)、中国外で取引する人民元をCNH(オフショア人民元)と言います。CNYというのはChinese yuan、CNHというのはChinese Hong Kongの略だと思います。
実は人民元にはもう一つマーケットがあってNDFというものがありました。ノンデリバラブル・フォワードと言って差金決済です。昔はオフショアにいる人たちは、人民元のリスクヘッジ取引ができなかったのですが、でもオフショアにいる人たちも人民元相場の変動リスクをヘッジしたい、例えば僕が中国に送金しないといけないお金があって1ヶ月後の支払と言っても、1ヶ月後の為替レートってわかりませんよね、今でこそオフショア人民元ができたのでオフショア人民元での1ヶ月後の先物の予約とかもできるのですが、当時はなかったので、それなら差金決済で金融商品を作りましょうかということになって、NDFノンデリバラブルフォアードっていうのができたんですよね。その後、CNHが出てきてからはNDFは衰退していきました。
ーそうなんですね。NDFというのは初めて聞きました。私たちがFXで取引できるのはオフショア人民元(CNH)なんですよね?
✍️オンショア人民元(CNY)でFXはできない?それでも私たちが見るのはCNHではなくCNY
戸田 そうですね、オフショア人民元は先進国の通貨と同じように売買できます。しかしオンショア人民元にはいろいろと規制があるんですよね。1日に上下2%しか動いちゃいけないっていう決まりがありますし、あと中国の特徴的なのは外貨管理局っていう機関があることで、外貨管理局が認めた取引しか基本的にはできません。
一番大事なのは実需を原則とした取引ということです。投機はあまり認めていませんし、FXもありません。実需を原則とした取引なんですよね。輸出、輸入があればそれを届け出た上でやってくださいということなんですよね。
–FXもないということですが、本土に住む中国人はFXできないんですか?それとも本土の中国人もオフショア人民元でFXできるのですか。
戸田 もちろんオフショア人民元も触れますよ、ただオフショアに口座がないと難しいですけどね。
ーシンガポールとかに口座を持っていれば触れるということですか。オフショア口座を持つことに対して規制はないのですか。
戸田 規制をかけようがないですね、一度、国内からよその国にお金が出て海外での取引になってしまうとその国の法律になるので、中国も規制することができません。中国政府が例えば中国人に対して「海外の口座を作るな」って言ったってそこには拘束力がないので、彼らは海外に行って口座を作ってしまいますし、それは日本人も同じことです。
ーオフショア人民元はある程度自由に取引できるけど、オンショア人民元は実需が原則ということですね。
戸田 そうです。実需原則は大事な言葉です。国外の方にも広く規制を取っ払って使えるようにしたのがオフショア人民元です。為替の取引量が多いのはどちらか知っていますか。
ーオンショア…(小声)
戸田 正解はオフショアなんですよ。売ったり買ったりするのは、やはりオフショアでしかできないので、取引量はオフショアの方が多いんですよね。僕たちみたいに売ったり買ったりしている人がいると取引量は増えますよね。でも、裏付けがない通貨って売れませんよね。どういうことかっていうと、人民元預金があるからそれを売れるし、ドル預金があるからドルを人民元に替えられるんですよね。
オンショアは人民元の流通量が多いんですよ。オフショアは少ないです。だからオフショアは、短期のお金がたくさんある時や少ししかない時があって、たくさんある時は金利が低下するんですけど、少ししかない時は金利が急騰するんですよね。今の世界の状況と同じですよね、金融政策でお金が市場に溢れると金利は下がります。原理は日本円やドル円と一緒で今じゃぶじゃぶにしているので低金利なんですっていう話と一緒です。
中国がそれをどのように管理しているかっていうとオンショア人民元(CNY)は中国人民銀行が調節していて、オフショア人民元(CNH)は香港金融管理局が管理しています。ただ、元となる人民元は中国の国内にあるので、いくら融通するかっていうのは中国国内に権限があるわけです。ですから例えばオフショアで人民元がめちゃめちゃ売られて大崩れしたとするじゃないですか、それを止めようと思った時に、一旦資金を国内に引き上げちゃうんですよね。そうするとオフショア人民元はそもそも流通量が少ないので、お金を引き上げられることで金利が急騰するんです。金利が急騰するので、オフショア人民元はそれ以上売られなくなります。
ーオフショア人民元の為替レートの管理はそのような方法もできるのですね!
戸田 国外の人、僕らもそうですが、「人民元はもっと上がるだろう」と思って買うじゃないですか、でもなにを気をつけてみないといけないかっていうと、中国国内の動きがどうなのかっていうのを絶えずチェックしないといけません。CNHを取引するんだけどCNHを見てもしかたなくて、CNYを見ながら取引しないといけないということです。皆さんなんとなく中国国内のニュースは見ていると思います。最近だと中国の外貨預金準備率の引き上げのニュースもありましたよね、結局見るのは中国人民銀行が何をしているのかということを見ないといけません。
金利も国内のものを見ないといけません。SHIBOR(シャイボー)っていうんですよね、Shanghai Interbank Offered Rateっていうのが銀行間で取引するときの参考レートなんです。SHIBORの金利が急に上がってきたりすると中国人民銀行がお金を締めてるんだなっていうのがすぐに分かるので、当局の意図を簡単に読むことができますよね。わかりやすいです。人民元安を止めたいんだなーとか、止めたくないんだなーっていう当局の意図を読んでいくことが重要だと言えます。
ー人民元はオンショアとオフショアで分かれていて、決まり事もあるので他の通貨と比べるとややこしいと感じる人もいるかもしれませんが、逆に当局の意図を読むという意味ではわかりやすいとも言えるのかもしれませんね。
実需と投機についての詳しい解説は ▶︎こちらの記事へ
✍️中国はなぜオフショア市場を作ったのか、中国が参考にするのは日本?
ーそもそも中国はなぜオフショア市場を作ったのでしょうか。
戸田 それは段階的な金融の開放、人民元の開放ということだと思います。中国が参考にしているのは日本だと思います。日本は元々輸出産業で儲かり、アメリカに目をつけられたのですが、そこで日本は金融の自由化をすることになりました。それまでは日本円も中国と同じような通貨だったわけですね、1980年とか僕らが生まれる頃というのは、人民元も日本円も同じような管理をしていて1973年まで日本円は1ドル360円でした。そこから変動相場制に変わっていくんですよね。
そもそも小さい国って為替レートが安定しなくて困ってるんです。海外旅行とかいくと分かると思うのですが、1万円払ったらものすごくたくさんの札束をもらっちゃったり、結局ドルで支払いをしてるなんてこともあります。それはその国の通貨が安定していないからです。固定相場制にしている国も結構あるんですよ。
ー日本も昔は固定相場制だったのですね。中国は日本を参考にしているということですが、どういうことでしょうか。
戸田 日本が1ドル360円から100円になったときに日本の企業は円高にものすごく苦しみました。ニトリみたいな輸入企業は喜んでいたと思いますが、トヨタなどの製造業は苦戦したんですよね。円の価値が3倍になってしまっているわけですから、輸出企業の競争力がどんどんなくなり、当時は政府への不満がものすごく出ていました。こんな円高じゃなんもできん!とか言われて…。でも苦肉の策、地産地消でトヨタなどの輸出企業は海外に出ていきました。中国で自動車を作ったりメキシコで自動車を作ったり、そのように工夫して為替レートにブレない体制を作っていったわけです。
だから国内の経済はそんなに活発じゃないですよね。それは1ドル360円が100円になったことも関係していると思います。日本で作って物を売るっていうのはもう無理だって、みんな海外に出ていってしまったんです。海外で作って海外で売ってその利益だけが日本に還流されてくるっていうのが今の日本なんですけど、そこには当然痛みを伴いました。それが30年間の国内の不況にも通じました。GDPが伸びないとか。中国はそういうことになりたくないわけですよ、日本みたいに耐えられるか分からないから。日本はうまく耐え切ったと思います。でもやはりデフレには入ってしまいましたよね、だからこそ中国は慎重に人民元の国際化を進めているんですよね。
ーけっこう、壮大な話ですね!
戸田 為替ってそういうものです。壮大な話なんです。国と国の利権の話なので。
ー日本は当時、日本円を国際化、自由化したかったわけではないということでしょうか。
戸田 やむなくという感じだと思います。国際化すると円高に進んでしまうのもわかっていたと思いますので。自由化っていうのは外からお金がたくさん入ってくるようになるんですけど、抜けも速くなってしまいます。お金が入ってきて出ていってしまう、これがバブルとバブルの崩壊になっちゃうんですよね。お金が入ってきて膨らんで、出ていって萎んじゃうわけです。それが急速に行われてしまう、しかも海外からのお金なので自分たちでは管理できませんよね。そういう不確定要素を増やしてしまうから中国は人民元の自由化に慎重なんだと思います。
ーそのような話を聞くと日本はよく耐えたなと思います。
戸田 耐えたというか、もうやるしかなかったんだと思います。結果論として早めに海外に出たことは製造業にとっては良かったのかもしれませんよね、でも代わりに日本は空洞化しました。どちらが良かったのかは分かりませんが、そういう進化を遂げたということです。
ー中国も日本のような進化を真似たいということですか?
戸田 中国は人民元の自由化はできればやりたくないと思っているのではないでしょうか、不確定要素なので。特に中国には成長目標があって今だと10年以内にアメリカを抜きたい!みたいなところがあるんですよね、習近平氏が一つの成果として経済規模でアメリカを捕らえることができたら、それは誰にでもわかる成果じゃないですか。それを達成するために、人民元を自由化しないといけないんだったらするとは思うんですけど、やはりそれは不確定要素だと思うんですよね。人民元を自由化してお金がたくさん入ってくるかもしれないし、時にはたくさん抜けてしまうかもしれない。それによって経済成長が10パーセントの年もあれば1パーセントまで落ちてしまう年もあるかもしれない、そうなると共産党の思惑とは少し違うわけです。だから段階的にやっているっていうのはそういうことなんですよね。忍足というか、一歩一歩進んでいる状態だと思います。
✍️通貨を投機対象として認める国、そのメリットは?
ーオンショア、オフショア分かれている通貨って他にありますか?
戸田 オンショア、オフショア分かれていて今の人民元のような管理をしている通貨は他にないと思います。先ほど話したように中国は段階的に人民元の国際化を進めたいので、そのようにしているのだと思います。オフショア口座はどこの国にもありますが、でも同じ通貨で通貨コードを分けている国はないと思います。例えばマレーシアリンギットだったら同じ通貨コードのMYRでやっている気がします。その中で「この人の口座はオフショアだ」「この人はオンショアだ」と仕分けをしています。
実需原則を用いている国はすごく多くて、アジアでは大半が実需原則を用いていると思います。要するに投機はやめてねという話なんですよね。この話になるとアジア通貨危機という出来事が重要なワードになってきます。今後調べてみても面白いと思います。そもそも国の考え方としては、通貨って投機対象ではなく「資産」という考えが多いです。FXではもちろん通貨を投機対象と捉えてやっていくわけなんですけども、全ての国がそのように考えているわけではないということです。
ー通貨は投機対象ではないということですね。
戸田 そうですね、そういう風に分類している国もあります。ある意味、通貨というのは国家そのものなんです。それを投機対象にはしないでねっていうことですよね。でも安定している国では投機を認めることで、その力を借りてより経済を活発化させるわけです。例えば実需取引に基づいて短期で売買する人たちも狭いスプレットの恩恵を受けていたりもします。スプレットが狭いというのは、投機で利用する人たちが大勢いるからそれだけ両替しやすくなっているんですよね。逆にエマージング通貨、新興国の通貨はスプレットが広いと思うのですが、それは投機が少ないからあれだけスプレットが広くなっているんですよね、
売る人と買う人がたくさんいるのが、今の先進国の通貨なんです。
ーなるほど、通貨を投機として認めているのにはそのような理由があるのですね。なぜ、オフショア人民元とオンショア人民元2つの市場が存在しているのかもよく分かりました。次回も人民元の特徴についてさらに詳しくお話を聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします!
2. オフショア人民元の流通量は常に中国国内に権限がある
3. 中国国内の動き、中国人民銀行の動向をチェック
✍️終わりに
なお人民元取引を提供するFX会社はまだまだ限定的です。そこで取引や情報入手に役立つ情報をシェアさせて頂きます。
サイト運営者の戸田さんが人民元取引に活用しているのは外為どっとコム社の取引システム「外貨ネクストネオ」とのことです。高いスワップ・ポイントと質の高い情報提供が名高い会社で、私ちょびっぴも人民元取引に活用しています。
キャンペーンも実施しているので、人民元取引にご興味のある方は以下の画像をクリックして口座開設にお進みください。
※『みんかぶFX』の2021年年間ランキングにおいて、総合部門、配信情報部門、人気部門の3部門で1位を獲得
※『みんかぶFX』の同サイト運営者が定める指標に基づく各FX会社のサービス等の調査。調査期間: 2020年1月1日~2020年12月10日 調査機関:株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド
それから現在、個人投資家の方が為替(FX)を基礎から勉強する機会、ましてや人民元を学べる機会は少ないです。私自身、最初は色々なかたの情報発信に目を通してみましたが、今にして思うと色々と遠回りをしたなと感じています。
戸田さんが運営しているサロンでは人民元情報はもちろん、個人投資家のレベルアップに役立つ情報をたくさん配信しています。入ったから必ず勝てるというものではありませんが、稼ぐ実力を身につけていく上で戸田さん以上の伴走者はいないと思います。
私自身も会員の一人ですし、自信を持っておススメしたいと思います。
以上になります。またお役に立てるような記事が書けるよう引き続き調査を進めていきたいと思います。