CEIBS の GEMBA の選択科目である海外授業(シンガポール + インドネシア)に参加しましたので、内容を簡単にシェアします。目的は読者の皆様に CEIBS の GEMBAでどのような授業が行われているか、どのような学びがあるかをイメージして頂くことです。
CEIBS GEMBA 卒業の前提条件
まず前提条件ですが、CEIBS の GEMBAでは卒業までに最低2つ以上の海外授業 (選択科目) を取得することが義務付けられています。私が選択したのは 東南アジア (シンガポール + インドネシア)、インド (バンガロール + ムンバイ) の2つです。なお私が取得した2つ以外に イスラエル(テルアビブ + エルサレム)、 アフリカ(ガーナ)、ブラジル(詳細不明) の3つが存在し、計5つの海外授業が存在します。これら海外授業の開催場所は毎年変化しますので、あくまで私の代に限ったこととして、参考までにご認識くださいませ。
今回の日程は5日間、前半はシンガポール、後半はインドネシア(ジャカルタ)です。シンガポールには旅行で一度訪れたことがある他に、金融先進国であること、日本企業のアジア地域本部があること、法人税制が他地域対比競争力があること、こう言った理解度でもって授業に参加しました。余談ですが、授業の前日から筆者知人の現地駐在員の家に宿泊し、現地駐在員の声からも予習(ローカルフード食べ歩き+雑談)をしたことを付け加えておきます。
結論から申しますと、シンガポールは非常に効率的・先進的で働きやすく、特に先進国にとってビジネスチャンスがありそうだと言う印象でした。順を追って説明していきます。
CEIBS GEMBA Global Electives in Singapore 初日
初日の午前中は座学でシンガポール経済を学びました。今回は引率が経済学の教授であったこともり、午前中にサクッと経済学の振り返りを行いました。その教授が私が外国為替の仕事に従事していることを既に知っていたので、なぜ日本のGDPが最近低迷しているのかというのをクラスで共有してほしいと振ってくれたので私なりのインサイトを含めてクラスメイトに共有しました。1つ目は消費者マインドの低迷(将来に対する不安)と人口減少によって Demand Carve が左にシフトしていること(需要が減っているということ)、2つ目は長らく政治が安定していなかったこと(政府支出や政策を調整できない)を挙げさせて頂きました。それからGDPと言うのはあくまで国内総生産であって、日本の製造業の地産地消の実績は計上されていないことも伝えております。もし詳しくご興味のある方は AD=C+I+G+X-I という有名な公式をご参考下さい。https://www.economicshelp.org/blog/245/readers-questions/ad-c-i-g-x-m/
クラスで唯一の日本人ということでこの手の日本情報の共有の役割を私が担っているのですが、最初はものすごく緊張しましたし、うまく説明できませんでしたが、最近はようやく慣れてきました。これはひとえに Global EMBA のおかげだと思っています。少し脱線してしまいましたがみなさんが GEMBA に参加した時のイメージを持ってもらうには良いかなと思って共有しました。
さらっと経済全般に関して復習した後は、シンガポール独自の制度について学びました。CPF(Central Provident Fund という高い運用実績をあげる国民年金)、HDB(Housing Development Board という公共住宅事業を手掛ける政府機関)、 透明な英国式の法律制度、シンガポールの通貨政策(貿易加重平均)について概要をさらっと学びます。これら4つの学びから感じたのは政府主導の機関や制度が力強くワークしている点です。我々日本人はどちらかと言うと民間主導の文化の中にいると思いますが、一方で世界に目を向けると中国やシンガポールなど政府主導の国々の躍進が続いているのもまた事実かと思います。
0歳の頃からシンガポールに在住している日本人の方にお話を伺ったのですが、シンガポールで学校を卒業して就職したい先のNo.1は政府機関だそうです。これは我々日本人からするとあまりイメージが湧きませんが、社会的地位に加えて、高給であることが主な理由のようです。政府の給与を高く設定することで、優秀な人材が集まり、高い給与であることから汚職も少なくなると言う論理です。日本で政府機関の給与を高給にするとすぐ叩かれそうですが、私は高給にすべきかなと思います。なんせ国の今後を決める重要な仕事ですから高い給与を払ってでもしっかりと今後を見据えた仕事をしてもらうべきと思うからです。
午後はEDB(Economic Development Bord) を訪問しました。EDBはシンガポールの発展のために、また外資のシンガポール進出を図るためにどのような経済政策を取るべきかと言うのを検討・実行するための政府機関になります。なおシンガポールは外資の力を上手く取り込んでここまで成長してきました。就職ランキングの第二以(政府機関の次の人気)はMNC(Multi National Company)、特に金融機関となっているようです。
印象的だったのは、金融業に加えて、製造業もシンガポールにとって欠かせない柱であると言うこと(GDPの20%)です。東西貿易の拠点として、主に船舶・航空関連の重工業が発展しているようです。
次に今後力を注いで行きたい産業として宇宙産業を挙げていた点です。シンガポールの人件費を考慮すると必然最先端分野での活躍が期待されると。その中でも宇宙産業と言うことで、今後も各国とシンガポールとの連携を注目して見守っていきたいと思います。
それから当然ながら時代の流れを意識してデジタルエコノミーにも力を入れていくとのことでした。シンガポールの人口は5.5Mと少ないですし、効率化は必須だと思います。この分野は何と言っても中国が進んでいますから、中国と上手く連携して進めていくのだと思います。
医療品についても言及していました。これは日系企業との連携が多いようです。次の投稿で共有しますがA*STARと言うシンガポール版シリコンバレーに日系製薬メーカーがいくつか進出していました。やはりどれも先進分野での勝負ということですね。
今回はEDBの中国担当(中国の協力を如何に取り付けるかが主な仕事)の方が説明してくれたのですが、政治的な発言には触れないようにしていたことも印象的でした。日本のように自由になんでも発言出来るのは幸せなことなのかもしれませんね。
授業初日と言うこともあってまずは軽めのスタート。しかし今後も十分期待出来そうな内容でしたので、楽しめそうだなと、そう言う感覚で初日を終えました。