こんにちは、ちょびっぴです。皆さんは人民元の通貨制度についてご存知でしょうか。
人民元の通貨制度は管理変動相場制で通貨バスケットによる管理が行われています。
今回は人民元のレートがどのようにして決められているのか、人民元の通貨制度について戸田さんに詳しく聞いてみました。

そもそも世界の通貨制度にはどのようなものがあるのでしょうか?人民元の通貨制度を知る前にまずは世界の通貨制度について戸田さんの記事から抜粋してみました。

✍️そもそも通貨制度にはどのようなものがあるの?


通貨制度は大きく分けて3つあります。
自由変動相場制、固定相場制、管理変動相場制があります。今回は「国際金融のトリレンマ」という理論を用いて世界の通貨制度について解説します。国際金融のトリレンマとは「自由な資本移動」、「為替相場の安定性」、「金融政策の独立性」という3つの目標を同時に達成することはできず、このうち2つの目標しか確保できないことを証明した理論です。

この理論を軸に日本、香港、中国を例に挙げて世界の通貨制度についてみていきたいと思います。

日本🇯🇵 自由変動相場制

まず、日本からみていきましょう。日本の通貨制度は自由変動相場制です。世界の投資家が自由に通貨を売買することが可能で自由な資本移動が許可されています。また日銀によるバズーカ緩和や、マイナス金利など、金融政策の独立性も十分にあります。一方で為替相場は安定していません。みなさんも記憶に新しいと思いますが、コロナショックで一時101円台をつけたドル円は、一週間足らずで111円台に戻りました。つまり日本は自由な資本移動と金融政策の独立性を重視していることから、必然的に為替相場の安定性を享受することは出来ません。
⭕️ 自由な資本移動  ❌ 為替相場の安定性  ⭕️ 金融政策の独立性  

香港🇭🇰 固定相場制

次に香港ですが、香港の通貨制度は固定相場制です。為替相場は米ドルにペッグされており、1USD=7.75-7.85で安定して推移しています。日本と同じく自由な資本移動を許容しています。しかし米ドルペッグを維持するために、米国が利上げをしたら香港も利上げを、米国が利下げをしたら香港も利下げをして相対的な通貨価値を維持させる必要があります。したがって香港は国内景気が悪いからと言って、独立して利下げや金融緩和を行うことは出来ません。
⭕️ 自由な資本移動  ⭕️ 為替相場の安定性  ❌ 金融政策の独立性 

中国🇨🇳 管理変動相場制

最後に中国を見ていきます。中国の通貨制度は管理変動相場制です。中国の為替相場は日本と比べると比較的安定しています。また中央銀行が独自に金融政策(利下げなど)を行うことが出来ます。しかしこれら二つを同時に確保しているために資本移動に大幅な制限を設けています。具体的には外国人が中国株取引に空売りを仕掛けようとしても簡単に行うことは出来ないですし、また外資系企業が中国から資金を引き上げることも許可制となっています。資本移動に制限がかけられている国への投資はリスクが高く、ここに中国が世界第二位の経済大国であるにも関わらず、世界第二位の金融大国でない大きな理由があります。
❌ 自由な資本移動  ⭕️ 為替相場の安定性  ⭕️ 金融政策の独立性  

✍️人民元は管理変動相場制、その3つのポイント


ー人民元の管理変動相場制についてのポイントを教えてください。

戸田 まずは人民元の当該制度に関する通達の原文と抑えるべきポイントをみていきましょう。

✔︎ 通達の原文 (中国人民銀行HPより引用)
“ 市場の需要と供給を基礎とし、通貨バスケットによる調節を加えた、管理を必要とする相場 ” 

次に抑えるべき3つのポイントです。

✔︎ ポイント
1. 市場の需要と供給を基礎とすること
2. 通貨バスケットによる調節が行われること
3. 当局の管理を前提とした相場であること

1について
ーこれはどういう意味でしょうか?

戸田 以前の記事で人民元は実需原則というお話をしましたが、投機目的での取引は基本的には認められておらず輸出、輸入があればそれを外貨管理局という外国為替取引の監督機関へ届け出る必要があります。

2について
戸田 内容が多いので次の項目で説明します。

3について
ー当局の管理とは具体的にどのようなことを言うのでしょうか?

戸田 中国の通貨制度は管理変動相場制で基本的には為替相場は自由に動いていいよというのが中国としても大前提なのですが、極端な変動は防ぎたいので管理が加えられています。管理の仕方にはいろいろな方法がありそのうちの一つが通貨バスケットだったり基準値の設定であったりするのです。また人民元には基準値というものが設定されており、一日の値動きは基準値から2%に制限されています。

✍️通貨バスケット制ってなに?


ーポイントの2で通貨バスケットによる調節が行われる、とあるのですがそもそも通貨バスケット制とはどのような制度なのでしょうか?

戸田 通貨バスケット制とはあらかじめ定めた割合で、複数の通貨の変動を考慮する管理制度です。そのため一つの通貨が急激に変動しても全体への影響が抑えられ、為替相場の変動が少なくて済むというメリットがあります。

通貨バスケット制という言葉に馴染みがない方も多いと思いますが、身近な国では中国の他にシンガポールやマレーシアなどがこの制度を採用しています。また前回の記事でもお話ししましたが国際機関であるIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)も通貨バスケットで構成されています。

ーなるほどです。通貨バスケット制についてあまり理解できていませんでしたが、中国だけでなくいろいろな国や機関でも採用されている管理制度の一つなのですね

戸田 実際に人民元の通貨バスケットの中身を確認してみましょう。以下が2021年の通貨バスケットの構成通貨の比重です。参考文献:CFETS(关于调整CFETS人民币汇率指数货币篮子权重的公告)

戸田 人民元の通貨バスケットは24通貨で構成されています。バスケットの中でUSD、EUR、JPY、KRWなど、中国と貿易量の多い国が高い比重を占めていることがわかります。

ーなるほどです。今後人民元の通貨制度はどう変化していくのでしょうか?自由変動相場制へ移行する可能性もあるのでしょうか?

戸田 そうですね、まず変動相場制にした時のメリットは何でしょうか?
例えば、いろんな人が取引しやすくなるとか国内の金融市場が発展するなどのメリットはあると思います。一方で中国はまだまだ「世界の工場」なのでモノを作って海外に販売するのがメインのビジネスです。

人民元で採用されている管理変動相場制ですが、言い方を変えれば守られてるわけですよね。輸出輸入の貿易をしている人たちが仕事をしやすいようにっていうのを考えると、あまり動かないほうがいいです。したがって今の中国の状況を考えると自由変動相場制へと切り替える必要はないと思います。

中国金融当局は管理変動相場の制度下においても、まだまだ試していくべきことがあると考えているように思います。例えば海外へのデジタル人民元の普及を通じて人民元決済の比率を上げることが出来ないか試しているように思います。実際に、デジタル人民元をいろいろな国で使えるようにするにはどうしたらいいのだろうというような会議も行なわれていますし、自由変動相場制への移行よりは、別のことに力を入れていくのではないかと思います。

人民元5つの特徴ついての詳しい解説は ▶︎こちらの記事

ー中国が通貨制度を変更することは今の段階では考えにくいということですね。今回、人民元の通貨制度について詳しく教えていただきとても勉強になりました。

自分の国の通貨制度については理解できても「管理変動相場制」「通貨バスケット制」という制度については全く馴染みがなく、具体的にどのような制度なのか分かっていなかったので、今回戸田さんに詳しくお話を聞くことができて理解が深まりました。ありがとうございます。

今後もいろいろなことを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

✦ まとめ

✔︎ 世界の通貨制度には自由変動相場制、固定相場制、管理変動相場制がある
✔︎ 中国の通貨制度は管理変動相場制で通貨バスケットによる調整が行われている
✔︎ 通貨バスケット制とはあらかじめ定めた割合で複数の通貨の変動を考慮する管理制度。一つの通貨が急激に変動しても全体への影響が抑えられ、為替相場の変動が少なくて済むというメリットがある

✍️終わりに


なお人民元取引を提供するFX会社はまだまだ限定的です。そこで取引や情報入手に役立つ情報をシェアさせて頂きます。

サイト運営者の戸田さんが人民元取引に活用しているのは外為どっとコム社の取引システム「外貨ネクストネオ」とのことです。高いスワップ・ポイントと質の高い情報提供が名高い会社で、私ちょびっぴも人民元取引に活用しています。

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それから現在、個人投資家の方が為替(FX)を基礎から勉強する機会、ましてや人民元を学べる機会は少ないです。私自身、最初は色々なかたの情報発信に目を通してみましたが、今にして思うと色々と遠回りをしたなと感じています。

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私自身も会員の一人ですし、自信を持っておススメしたいと思います。

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以上になります。またお役に立てるような記事が書けるよう引き続き調査を進めていきたいと思います。