こんにちは、ちょびっぴです。みなさん、こちらのチャートをご覧ください。
2020年1月から2021年4月までの人民元/円のチャートです。きれいな上昇トレンドを描いていますね。人民元の強さが一目瞭然で分かります。こんなことなら人民元を買ってひたすら持っていればよかった、なぜ利確を早まったのか、手放さなければよかったと後悔しています。今でも長期的には人民元は買いだと思っています。
では、なぜ人民元はこんなに強いのでしょうか、その理由を戸田さんに聞いてみました。
目次
✍️人民元の国際化を目指す中国、通貨を国際化するってどういうこと?
―人民元が強い理由にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
戸田裕大さん(以下、戸田) そうですね、人民元が強い理由の一つは人民元の国際化です。人民元の国際化の切り札として香港と中国本土のコネクトがあります。
―どういうことでしょうか。
戸田 ちょびっぴさんに質問です。香港には海外の投資家はアクセスできますか?
―はい、できると思います。
戸田 そうですよね。では、香港と中国本土が繋がってくれてさえいれば僕たちは実質的に中国の取引ができますか?できませんか?
―できます。
戸田 香港と中国本土のコネクトができるということは海外投資家は中国の投資商品を買いやすくなりますか?なりませんか?
―買いやすくなります。
戸田 そういうことです。もともと香港がないと海外の人は人民元の取引ができませんでした。例えば以前は中国の債権や中国の株式を売買するためにはQFII(キューフィー:適格機関投資家)という特別な資格を取得しなければ、海外の機関投資家は人民元の取引ができませんでした。
海外の機関投資家が投資できないということは、つまり個人投資家も投資できないわけです。サービスとして提供されないので。
しかし今はストックコネクト 、ボンドコネクトというシステムができて、理財、いわゆる投信のコネクトも年内には運用が開始される予定で、海外投資家は香港を通じて中国本土との取引が自由にできるようになりました。
香港と中国本土間で証券取引を可能にするシステムのこと。2014年11月に運用が開始された。海外の投資家は香港を通して人民元建て株式の売買を自由に行うことができるようになった。
✔︎ ボンドコネクト(債券通)
香港と中国本土間の債券相互取引が可能になった。2017年7月に運用が開始された。
✔︎ 投信のコネクト(理財通)
ウェルス・マネジメント・コネクト(理財通)によって、年内には深圳などの中国南部9都市の銀行の顧客は香港に投資できるようになる。また香港から中国本土への投資も可能となる予定。
―そうなのですね、この制度が開始されたのはそんなに昔のことではなくて、最近の出来事なのでしょうか。
戸田 そうですね、投信のコネクトはこれからの話で、ストックコネクトやボンドコネクトもここ5年くらいの話だと思います。現在進行形で国際化を進めているともみれますね。
―なるほど。
戸田 人民元の国際化というところで、2015年にIMF、国際通貨基金のSDRに人民元も加わったのですが聞いたことはありますか。
―はい、そのことは戸田さんが執筆された本を読んで知りました。でもSDRがいまいち分かりません。SDRってなんですか?

✍️IMFのSDRに組み込まれた人民元、そもそもSDRってなに?IMFの役割とは?
戸田 SDRとは日本語で「特別引出権」と言います。IMFに加盟する国のうち、いくつかの国の通貨をバスケットのようなものにまとめたものをSDRといい、2015年に人民元も加わりました。
―人民元はSDRに追加されたことで、主要国通貨と同じように安定した通貨として認められたということでしょうか。
戸田 その通りです。
国際通貨基金IMFは国際金融の安定を促進し国際通貨協力を推進している。また国際貿易や雇用、持続的な経済成長を促進し貧困削減に貢献している。IMFは加盟国190カ国によって運営され、加盟国政府に対して責任を持っている。 1944年に設立されて現在190の国が加盟していて80か国がIMFから緊急融資を受けている。低所得国向けの融資の金利は0%で行っている。
設立の経緯と機関の役割は1944年にアメリカ合衆国で行われた国連の会議にて設立が提案された。 1930年代の世界恐慌の一因となった各国通貨切り下げ競争の再発回避を目指した。 加盟国に対して問題が生じた場合に融資による支援を目的として設立され、これまでに2042億SDRが加盟国に配分されている。
IMFホームページより引用:https://www.imf.org/ja/Home
戸田 IMFにはたくさんの国が加盟していて、SDRは準備資産を保管する手段です。例えばギリシャ危機が起きたときには、IMFはギリシャに対し支援融資を行いました。IMFから2042億SDRが加盟国に配分されていることがホームページにも記載されていましたが、そのことからも支援を必要とする加盟国に対し、たくさんのお金を融資してきたことが分かります。
SDRは米ドル41%、ユーロ30%、人民元11%、日本円8%、ポンド8%で構成されていて、これで1 SDRとします。2015年に組み込まれた人民元の量は日本円やポンドよりも多いですね。
―SDRは一つの通貨として考えればいいということでしょうか?
戸田 そうです、Facebookが主導するデジタル通貨のリブラみたいな感じでしょうか、複数の通貨をひとまとめにして1SDRとしています。ちなみにSDRに人民元を加えたのは誰か知っていますか?
―誰でしょう、分かりません。
戸田 今のECBの理事のラガルド総裁です。なので、ラガルド総裁はけっこう中国寄りなのではないかという話もあります。
―へー、そうなのですね。知りませんでした。SDRに人民元が組み込まれたことは人民元が国際的にも認められ、ますます国際化が進む=人民元高が加速する一つの要因になっているということですね。よく分かりました。

✍️人民元が強い理由は中国の金融政策にある?日本と中国のマネタリー・アプローチを比較する
戸田 人民元が強い理由としてもう一つは中国の金融政策があります。金融政策には量的なものと質的なものがあり、量的な金融政策とはマネタリー(資金量の)アプローチのことです。日本と中国の市中預金量の変化を比較したものが以下の図です。

戸田 マネーの増え方を見ると中国と比べて日本の方がじゃぶじゃぶになっているのが分かりますよね。例えば日本円の預金の量が増えると円の価値はどうなりますか?
―円の価値は下がる?
戸田 そうですね。ではなぜ円の価値は下がるのでしょうか?
―・・・量が増えるから。
戸田 国民の口座に預金が増えて、手元にたくさんお金があるとみんなはそのお金をどうしますか?
―使いたくなると思います。
戸田 たぶん使いますよね。日本では使わない問題もありますが、お金が手元にたくさんあると、例えば車を買ったり、投資に使ったりする人が出てきます。そうすると車の値段はどんどん上がっていきますよね、「この値段でも売れるんだ」みたいな。それで物価が上がっていくんですよね。この物価が上がっていく状況のことをインフレーションと言います。 物価が上がっているっていう見方もできるし逆説的には通貨の価値が下がっているという見方もできるわけです。だからマネーの量が増えるとその通貨の価値が薄まる効果があるんじゃないかって言われていて、検証すると本当に薄まっていることが多いです。
―中国と日本の預金量の変化を見たときに人民元よりも円の方が預金量が急激に増えているので円の価値が薄まっている、相対的に人民元の価値が上がっている ということですね。
戸田 そうですね。ちなみにこのグラフは預金量をGDPで割っています。日本のM2、市中の預金量は1170兆円くらいあります。中国のM2は227兆元あるのですが、元を17倍して円に換算すると3400兆円くらいになります。そうすると日本と比べて中国のM2は3倍くらい大きいことになり、そのまま比べてしまうと中国の方が圧倒的に大きいという話で終わりになってしまいます。でもそれで比べちゃうのはフェアではないので、2つの国の経済規模で割り込むことで比較可能にしています。
―日本と比べて中国の方が経済が大きいので預金も大きいのは当たり前だということですよね。
戸田 はい、ですのでそれぞれの国の経済規模に対してどれくらいの預金があるかをみています。
―なるほどです。では、もう一つの質的な金融政策とはどういったものなのでしょうか。
マネタリー・アプローチについての詳しい解説は ▶︎こちらの記事へ
✍️日本と中国の金利差と経常収支から通貨の価値を考える

戸田 質的な金融政策とは金利調整のことです。以下の図は日本と中国の金利差を示しています。
戸田 この場合の金利とは具体的には短期の金利のことで、日本は0%ですが中国は3ヶ月で2.4%くらいあります。
―金利差、要するにスワップポイントを狙って投資家が取引したくなるということでしょうか?
戸田 それぞれの通貨の条件が全く一緒だった場合、金利が高い通貨と金利が低い通貨のどちらに投資したいですか?
―金利が高い通貨に投資したいです。
戸田 条件が全く一緒なのであれば金利がもらえた方がいいですよね。一つの要因だけで為替が動く理由は語れませんが金利はそのうちの一つで、金利に関しては中国に軍配が上がるよねという話です。
また通貨の強さを考える上で経常収支という概念は非常に重要です。以下のグラフは日本と中国の経常収支です。


戸田 日本と中国を比較すると日本の方が稼ぐ力は強いのかなという気がします。
―日本ってこんなに稼ぐ力があるのですね。自分の国のことをなめていたかもしません。日本すごいです!
戸田 しかし中国の経常収支もグラフを見てもわかるように、かなり強いことが分かります。経常収支が黒字の国は経常収支が赤字の国と比べて通貨価値が高まる傾向にあります。
また、両国ともに豊富な外貨準備高があります。豊富な外貨準備高は通貨の価値が安定する一つの要因で、中国は3.22兆ドル、日本は1.39兆ドル、日本も大きな外貨準備を持っていますし中国も同じです。稼ぐ力が強いっていう点と豊富な準備高を持つという点は両国に共通することですね。要するに国が安定しているということです。
ーいろいろな理由があって人民元は強いのですね。よく分かりました。それに他の国を知ることで自分の国のすごさも認識できました。人民元についてだいぶ理解が深まってきたように思います。まだまだ分からないことも多いので、引き続き教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
✔︎ 香港ー中国本土間の相互取引が可能になったことで人民元の国際化が加速
✔︎ IMFのSDRに人民元が組み込まれ、国際的にも認められたことによって人民元の価値が高まっている
✔︎ マネーの量が増えると通貨の価値が薄まる効果がある。人民元と比べて円の方が預金量が急激に増えているので円の価値が薄まり相対的に人民元の価値が上がっている
✔︎ 中国の金利は3ヶ月で2.4%程度あり投資家にとって高金利な人民元は魅力的
✔︎ 日本も中国も経常収支は安定している。経常収支が黒字の国は経常収支が赤字の国と比べて通貨価値が高まる傾向にある
✔︎ 日中両国ともに豊富な外貨準備高があり、豊富な外貨準備高は通貨の価値の安定につながる
✍️終わりに
なお人民元取引を提供するFX会社はまだまだ限定的です。そこで取引や情報入手に役立つ情報をシェアさせて頂きます。
サイト運営者の戸田さんが人民元取引に活用しているのは外為どっとコム社の取引システム「外貨ネクストネオ」とのことです。高いスワップ・ポイントと質の高い情報提供が名高い会社で、私ちょびっぴも人民元取引に活用しています。
キャンペーンも実施しているので、人民元取引にご興味のある方は以下の画像をクリックして口座開設にお進みください。
※『みんかぶFX』の2021年年間ランキングにおいて、総合部門、配信情報部門、人気部門の3部門で1位を獲得
※『みんかぶFX』の同サイト運営者が定める指標に基づく各FX会社のサービス等の調査。調査期間: 2020年1月1日~2020年12月10日 調査機関:株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド
それから現在、個人投資家の方が為替(FX)を基礎から勉強する機会、ましてや人民元を学べる機会は少ないです。私自身、最初は色々なかたの情報発信に目を通してみましたが、今にして思うと色々と遠回りをしたなと感じています。
戸田さんが運営しているサロンでは人民元情報はもちろん、個人投資家のレベルアップに役立つ情報をたくさん配信しています。入ったから必ず勝てるというものではありませんが、稼ぐ実力を身につけていく上で戸田さん以上の伴走者はいないと思います。
私自身も会員の一人ですし、自信を持っておススメしたいと思います。
以上になります。またお役に立てるような記事が書けるよう引き続き調査を進めていきたいと思います。