みなさんこんにちは、戸田です。
本日は円キャリートレードの魅力や注意点について解説していきたいと思います。
それでは早速見ていきましょう。
そもそもキャリートレードとは?
キャリートレードとは、低金利通貨を借りて、高金利通貨(通貨や株、債券など)へ投資する運用手法です。金利差(スワップポイント)とキャピタルゲイン(値上がり)を同時に狙う運用手法で、ヘッジファンドなどでも用いられていると聞いています。
※実際にヘッジファンドで働いたことはないので詳しいことは分かりませんが、金融界隈ではよく用いられる用語です
円キャリートレードとは?
円キャリートレードは、円を借りて、高金利通貨(通貨や株、債券など)へ投資する運用手法です。日本銀行がゼロ金利政策を敷いていますので、円は低金利通貨ですから、キャリートレードに分類して問題ないでしょう。
円キャリートレードはあくまで一つの投資手法ですので、厳密には投資対象を選びません(株でも債券でも何でもよいのです)が、本日はFXに焦点を当てて解説したいと思います。FXの場合は円売り、外貨(高金利通貨)買いのポジションが円キャリートレードに該当します。
さて円キャリートレードのメリットは何でしょうか?これはすでにお伝えしたように、スワップポイントとキャピタルゲインが同時に狙えることです。
では円キャリートレードのデメリットは何でしょうか?それは円高(為替変動)で損失が発生するということです。
ですが、スワップポイントはプラスになりますよね?
相場はどちらに動くか不明瞭なところが多分にありますからスワップポイントだけでももらえた方が楽に戦えると思います。
私はスワップポイントの支払いが好きではないので、普段からキャリートレードが多いです。中でも今は円安が進んでいますから、円キャリートレードがワークしやすいと考えています。
現在の円安環境については以下の記事をご参考ください。
円キャリートレードの注意点は?
よくある勘違いが、将来の通貨価値を度外視して、より高金利な通貨を選ぶことです。
これは本当に気をつけてください。高金利な通貨は何か問題を抱えている可能性が高いです。
そもそも高金利とはどういった状況かイメージがつきますか?
例えとしてトルコを引き合いに出してみたいと思います。
トルコの現在の政策金利(1週間)は16%です。この16%にはほとんど信用コスト(債務不履行の確率)が含まれていません。ようは1週間のノーリスク貸出の金利水準が16%と考えてください。
例えばみなさんがトルコで生活しているとして、新しく事業を立ち上げたいと考え、期間1年の融資を申し込んだと仮定します。
トルコの民間銀行は1年間の期間リスクと、債務者(みなさん)の信用リスクを勘案し融資の実行可能性を検討します。つまり1年間の融資を16%(ノーリスク+期間1週間の金利水準)で実行出来るわけもなく、もっと高い金利水準、例えば18%とか、20%でないと融資を実行出来ないと判断します。
ではみなさんが苦労してようやく取り付けた融資契約は1年間で20%と仮定して進めます。
トルコの2020年GDP(年間の成長率)は+1.8%です。言い換えると、みなさんの新規事業がトルコの平均的なパフォーマンスだった場合に、1.8%の売上総利益(付加価値)しか残すことが出来ません。
となるとトルコでは1年間のお金を借りるのに20%の利息支払いが必要な一方で、事業そのものも1.8%程度しか拡大出来ない(付加価値を創出出来ない)ことになります。
さてここでもう一度質問をさせてください。
みなさんはトルコでお金を借りてビジネスを始めたいと思いますか?
思わないですよね。なのでトルコは明らかに経済に問題を抱えている国と言うことがお分かり頂けたかと思います。ですから私はトルコを投資対象と捉えていません。
円キャリートレードに適した通貨は?
円キャリートレードに適した通貨として真っ先に挙げておきたいのは人民元です。
中国の場合は2020年の実績ベースで+2.5%程度のスワップポイントが付与されていますし、通貨も過去10年間でみて上昇傾向にありますので、まさにキャリートレードに適した通貨と思います。私はらくらくFX積立でも人民元を積立ていますが、FXではより大きな資金で人民元の買い持ちを行っていることが多いです。
過去2年(2019年11月~2021年10月)の人民元+円キャリートレードのパフォーマンスは年率で10%~11%(含むスワップポイント)で推移しており圧倒的です。安定感も他の通貨とは比べ物になりません。
ですから人民元を推したいと思います。なぜ人民元が高パフォーマンスなのかは以下の記事をご覧ください。
中国人民元トレードに挑戦!1から学ぶ人民元の魅力と特徴(3)人民元はなぜ強い?その理由に迫る
他にはメキシコとロシアルーブルを挙げておきます。この考え方については以下の記事をご参考ください。
とにかくここで伝えたいのは、投資タイミングよりも、選ぶ通貨が投資の巧拙を分けるということです。
終わりに
為替(FX)は何かとチャートに注目が集まりがちです。ですが裏では確かなロジックの基に相場変動しています。
もちろん短期的には説明できない値動きがあるのも事実です。ですが長い目でみるとよりファンダメンタルズに基づいたチャートを形成します。
少しずつでも知識を積み上げ、さらに正しい投資行動を行うことが出来れば、パフォーマンスが向上するはずです。
引き続き一緒に学んでいきましょう。
<ご留意事項>
人民元の過去二年間のパフォーマンス算出には以下のデータを用いています。
為替レートの計算:Investing.com
スワップポイントの計算:外為どっとコム スワップポイントカレンダー